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乳海巡るアヴァターラ -アムリタ奪還戦- ストーリー のバックアップ(No.1)


※○○にはユーザー名が入ります。

インド魔宮1.jpg

「どこに消えてしまったんだろうな」

インド魔宮の片隅で、一人思考するブラフマー様。
その傍らには太陽神、スーリヤ様が佇んでいる。

「ブラフマー……この倉庫にだけ隠していたのよね?」
「ああ。けれど、さっきも教えたとおりだ」

ブラフマー様は来た道を振り返る。
ここは前述のとおり、インド魔宮の片隅。
普段インド魔宮を利用するにあたり、訪れる必要はない場所だ。
そして、ここに至るまでの道のりは細い通路となっており、
その通路もまた、封印術によって固く閉ざされ、隠されていた。

「うかつだったよ。しかし、起きたことは仕方がない…散ったアムリタのしずくを集めなければ」


寸刻前。ブラフマー様は仮面を通して、一体の不審な動きをするナーガを発見した。

様子を見ていると、するするとインド魔宮の奥へと進んでいき、例の封印された通路の前に立つ。
その場にはなんと、おびただしい数のナーガと、ナーガを引き連れた魔神カーリヤの姿があった。

「! これはいけない」
すぐにブラフマー様は、たまたま傍にいたスーリヤ様を引き連れ、封印された通路へと向かう。
通路に訪れたときはすでに封印が破られていたようだったが、まだ中にあるものは持ち去られていないらしかった。

「ブラフマー、この通路の中って確か一本道だったわよね?」
「ああ、そうだね。だから幾分、倒しやすいかとは思うんだ」

ナーガ自体は大した脅威ではない。
問題はその奥にいるカーリヤだ。
幸いにも、通路奥の部屋の出口は入口と同じ、細い通路のみである。
ブラフマー様とスーリヤ様は二人でここを封鎖したあと、中に侵入し潜んでいる魔神を倒す算段のようだ。

細い通路の先にある小さな一室。
窓もなく、明かりもない暗い部屋の中心部に、厳重に蓋をされた壺が鎮座している。
これはかつて、インドの神様が手に入れたアムリタと呼ばれる霊薬で、飲めば不老不死の力などを得るものらしい。
カーリヤはこれを狙って動いたと見られるため、逃がすわけにはいかない。

カーリヤはもともとクリシュナ様を封印していたが、○○により討伐されそれ以来姿を見せなかった魔神だ。
しかし、それが時間の乱れにより復活しインド地域に再び出現したとみられる。

「さすがに、アムリタの入っている壺を開けられることはないと思うが……」
「飲まれちゃったらまずいものだものね。大丈夫よ!さっさと片付けちゃいましょ」

ブラフマー様とスーリヤ様は小部屋に駆け込んだ。


二人の戦いぶりは鮮やかで、カーリヤを含むナーガたちをあっという間に殲滅する。

「大した相手じゃなくてよかったよ。戦闘には自信がないからね…」
「何言ってんのよ。ブラフマーの仮面から出るビーム?何度見てもすごい迫力だわ!」

お互いの健闘を称えあい、アムリタの様子を伺う。

「壺自体は問題なく残っているみたいだな……ん?」

暗い部屋でよく目を凝らし壺の様子を眺めると、なんと壺がかたかたと動いている。
そしてそのまま、蓋についていた封印を破り、中に入っていたアムリタはあっという間に外へと飛び出してしまった。

「ど、どういうこと?!アムリタって勝手に動くようなものだったかしら」
「いや、そんなはずは……。しかし、アムリタが逃げて行ったのは事実だ」
「逃げて行った……近くで戦闘してしまったから?」
「理由はわからないが、追いかけて集めなければならないのは間違いなさそうだ……」

突然のことにあっけにとられる二人。
ひとまずインドの神々を集め、事態の共有をすることに決める。

それから今に至る。


一方、インド魔宮のとある一角ではシヴァ様とクリシュナ様が何かを察知していた。

「クリシュナ。何かを感じはしないか?」
「今さっきかな。何か、力が散っていったような……穏やかじゃない気配も感じるよ」
「やはりか。この気を感じるのは我だけではなかったようだ」

二人は力が去って行ったであろう方向を見据える。

「シヴァ。かすかだけど、神の気配も感じるよ」
「なるほど、そういうことか。乳海攪拌のときのように、またややこしい事態に陥っては大変だな」

シヴァ様はふぅっと一息吐き、つぶやいた。