蜃気楼の塔~究明編~エリアデータ のバックアップ(No.11)
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- 18 (2016-11-06 (日) 21:30:16)
- 19 (2016-11-07 (月) 15:40:56)
- 20 (2016-11-07 (月) 16:24:02)
#style(class=table_left)
ほとんどなにもわかっていませんが、作っておかないと迷子になる気がしたので。エリアデータはこちら。必要項目が足りない可能性があります。改変よろしくお願いします。(nameless)
※歩くたびに消費行動力、経験値、ジェムが変動してるようなので、その辺のデータは参考程度に。
※ エリア進行中のメッセージに抜け、間違いがあればコメント、訂正お願いします。
情報提供等 †
わからないことが多すぎるのとデータ量がすごい予感しかないので是非ご協力を。
編集がわからないけど画像がある方はアップロードして画像名を他情報と一緒に添えてください。
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#style(class=table_left)
- 第三幕
ノイシュ「これで…どうだ!」
ナイトシア『……!フフフ、恐れ入った。それだけの力があればもしや…いや、これ以上語るのは止めておくとしよう』
ノイシュ様が神様たちの連携の後に放った一撃でナイトシアの大剣を弾き飛ばした……!ナイトシアは潔く敗北を認めると、剣の構えをとく。
そして背後の空間を勢いよく切り裂き、新たな道を開いた。
ナイトシア『さあ、お前たちの目指す道は開けておいた。覚悟ができたなら先へ進め』
ディルムッド「…待て、お前は…どこへ行く?」
オスカー「まさか逃げるわけじゃねぇよな?」
ナイトシアは問いかけるディルムッド様たちに背を向けると、未だ異形の幻影たちと戦う神様たちの元へゆっくりと向かっていく。
クーフーリン「おい!お前、まさか今度はあいつらと…!?」
ナイトシア『私がそのような事をするとでも思うか?…敵同士だからな、仕方がないとはいえ、お前はまだ青いな』
その言葉の後、奈落の淵に立ったナイトシアは、己の足元に這い回る異形の幻影を剣で薙いだ。
オグマ「…自分の身内がしでかした事は自分で片付ける。そういう事か?」
ナイトシア『そうだ。それにこの量の幻影をお前たちで捌くのは骨が折れるだろう?』
ナイトシアの表情はわからなかったが、何となく笑っているような…そんな気がした。
その時、幻影と戦う神様たちからも声が上がる。
ヴァルキリー「ここにいる気味の悪い幻影、そこのナイトシアが手を貸したとしても、全員で相手をしていてはかなり時間を消費してしまうだろう。何か対策を考えなければ…」
スカサハ「先を急ぐならアタシに任せて行きな!」
クーフーリン「師匠!?」
オイフェ「スカサハ!…わかったわ!私も残って戦うわよ。アナタだけに任せておけないもの」
エーディン「オイフェまで残るって言い出すなんて…」
スカサハ様とオイフェ様がこの場に留まる事を宣言すると、ミディール様は隣で戦っていたマナナン・マクリル様を不安げに見た。すると、マナナン・マクリル様はミディール様の背中を叩いて笑う。
ミディール「…マクリルも、残るの?そ、それなら僕も……!」
マナナン・マクリル「オイフェが残るならオレもここで戦うぜ!でもミディールは先に進めよ?全員が残ったら意味がないしさ、ちゃんとエーディンを守ってやれよな?」
ミディール「…!マクリル……」
リル「そういうこった!そこの大先生も早く先に行ってくれや!アンタの知識や分析力はきっと魔法にもおよぶだろうよ!」
ヴァーリ「…はん、おだてるならもっとマシな事を言いたまえ。だが、君に言われた事、必ず証明してやろう。…点数は君達が追いつくまでおあずけだな」
マナナン・マクリル様は元気に、リル様は豪快に笑い、それぞれ皆を送り出す。
こうしてこの場の幻影たちをオイフェ様、マナナン・マクリル様、リル様、スカサハ様に任せることとなったが……。
ディルムッド「俺も…この場に残ったほうが…」
ノイシュ「君が決めたなら僕は止める事はできないけれど…僕は同じ騎士として君にも一緒に戦ってほしいな」
オスカー「せっかくノイシュがそう言ってるんだ。ここはオレに任せて行って来いよ!」
ディルムッド様は迷ったような表情をしていたが、オスカー様の言葉に決心したように強く頷いた。
ディルムッド「…わかった。俺もお前たちと共に行こう。…オスカー、必ず後で…」
オスカー「おう!こっちは心配するな。後から必ず合流するからよ!」
ノイシュ「さあ、デアドラも早くこっちに」
デアドラ「ぬぉおお……はい?わかりましたわ!今そちらへ参りますわ!…ぞぉーい!!」
グラーニア「あんた、一人でどれだけ倒してるのよ…」
今度は未だ戦っていたデアドラ様にノイシュ様が手を差し伸べる。
デアドラ様は片手で異形の幻影を握り潰すと、壁に向かって投げ捨てる。霧状だというのに壁にめり込み、無残に飛び散る幻影が少し哀れに思えた。
デアドラ「ノイシュ、ちゃんと受け止めるのよ!」
ノイシュ「任せて。気をつけて飛ぶんだよ、デアド…」
デアドラ「ぜぇーいあ!!」
両手を広げてデアドラ様を受け止めようとしたノイシュ様だったが、残念な事に隕石のごとく舞い降りるデアドラ様の下敷きになってしまった。
デアドラ「あら、ノイシュったらまた受け止め損ねたのね!」
ノイシュ「…うん、ごめんね。あと早く降りてくれないと、ちょっと重…」
恐ろしい打撃音と共にノイシュ様の言葉はそこで途切れた。
その光景に戦慄したようにただ青い顔で立ち尽くすディルムッド様の横で、頭が痛そうにため息をつくオグマ様とヴァーリ様がいるのだった。 - 【第四幕】
ナイトシアが空間を切り裂いた先へと進んだ一行だが、そこは異様な雰囲気の場所だった。
薄暗い廊下のような場所の両端には何かの液体だろうか、青白く発光するものが入った透明なカップのような物が所狭しと並んでいる。そのせいで廊下全体が青白い光に包まれていた。
エーディン「なんだかこの場所、さっきよりも寒いわ」
ミディール「そ、そうだね……。それに、さっきの場所と、かなり雰囲気も変わってる……」
ナビィ「うぅ~、なんだか不気味です~!」
天井がやけに高い廊下には、肌を撫でる冷たい風の音が微かに聞こえる。油断すればたちまち暗闇に飲まれてしまいそうな、そんな危うい錯覚すら覚える空間だった。
???「足元も暗いからね。転ばないように気をつけなよー?」
デアドラ「そこにいるのは誰ですの!?…だりゃあ!!」
???「えっ!?ちょっと、待っ…」
突然視界に現れた人物に向かって、デアドラ様は足元にあった青白い光を放つカップを投げつけた。
ビュン!と風を切る音がしたが、投げつけられた人物は寸前でかわしたため、カップは壁に当たって粉砕した。
???「可愛い顔して危ない事するんだなー、デアドラって…」
ヴァルキリー「ヘルメスじゃないか。どうしてこんなところにお前がいるんだ?」
カップの破片が散乱する壁を青い顔で見る人物…ヘルメス様にヴァルキリー様が問いかける。ヘルメス様はくるりとこちらに向き直るとウィンクしてみせた。
ヘルメス「さぁね?まぁ、オレも色々忙しいって事だけ言っとくよ!…あ、そうそう!この先の部屋は鍵がかかってるからさ、どっかに落ちてないかちゃんと探しといたほうがいいよ?」
そう言うとヘルメス様は素早い身のこなしであっという間に廊下の暗がりへと姿を消してしまった。
ヘルメス様が一体何故こんな場所に?その疑問と同時に新たな問題が発生した。
オグマ「ヘルメスの話によれば、この先も鍵が必要になるのか」
ノイシュ「そのようだね。さっきはヴァーリのおかげで僕の剣が鍵になっていた事がわかったけれども…どんな鍵なのかな?」
ヴァーリ「まさかここまでの道のりで鍵やヒントを見落としたりしていないだろうな?」
???「それがうっかり見落としてたりしてね?探し物、コレでしょ?」
ヴァーリ「……っ!?」
一行が振り返るといつの間にかヴァーリ様の背後から肩を組む人物がいた。ヴァーリ様と同じ、もっと根本的に言えばオーディン様と同じ髪と瞳の色をしたその人物は……。
ヴァーリ「何故お前がここに来ているんだ、ヴィーザル!?」
ヴィーザル「あはは、兄貴のその顔、最高だよ!…ここ最近で見た中で一番イイね。ふふ、やっぱりここに来てよかったなー」
ヴィーザル様は思わず硬直しているヴァーリ様からぱっと離れると、指先で銀色に輝く簡素な造りの鍵を弄ぶ。その表情は笑ってはいるものの、何か計り知れないものがあった。
兄であるヴァーリ様も困惑しているような表情でヴィーザル様を見ている。
エリア名 | 画像 | 行動 | 経験 | ジェム | その他 |
---|---|---|---|---|---|
第三幕 | -? | +?~? | +?~? | -- | |
-21 | +31~42 | +105~630 | |||
-18 | +27~36 | +90~540 | |||
-23 | +34~46 | +115~690 | |||
-19 | +28~38 | +95~570 | |||
-20 | +30~40 | +100~600 | |||
-22 | +33~44 | +110~660 | |||
-25 | +37~50 | +125~750 | |||
-24 | +36~48 | +120~720 | |||
-26 | +39~52 | +130~780 | |||
-29 | +43~58 | +145~870 | |||
第四幕 | -? | +?~? | +?~? | -- | |
-25 | +37~50 | +125~750 | |||
-26 | +39~52 | +130~780 | |||
-29 | +43~58 | +145~870 | |||
-30 | +45~60 | +150~900 | |||
-27 | +40~54 | +135~810 | |||
-28 | +42~56 | +140~840 | |||
-? | +?~? | +?~? | |||
-? | +?~? | +?~? | |||
-? | +?~? | +?~? | |||
-? | +?~? | +?~? |
プロローグ~第一幕 †
エリア名 | 画像 | 行動 | 経験 | ジェム | その他 |
---|---|---|---|---|---|
【蜃気楼の塔~究明編~】~プロローグ~ | -2 | +3~4 | +10~60 | -- | |
第1幕 | -? | +?~? | +?~? | -- | |
-11 | +16~22 | +55~330 | |||
-8 | +12~16 | +40~240 | |||
-9 | +13~18 | +45~270 | |||
-15 | +22~30 | +75~450 | |||
-12 | +18~24 | +60~360 | |||
-13 | +19~26 | +65~390 | |||
-14 | +21~28 | +70~420 |
プロローグ~第1幕 台詞 †
- 【蜃気楼の塔~究明編~】
以前目にした時よりも不安定に揺らめく黒い裂け目に飛び込むと、やはり様々な事象や空間、時間といったものが入り乱れているようだ。
ただ、今ここに存在している蜃気楼の塔の内部はどことなく廃墟のような、まるで大災害のあとのような…そういった印象があった。
階段や壁がボロボロであるのはもちろんだが、周囲に目をやれば破損したテーブルや椅子、カーテンの切れ端のようなものなどが散乱している。
ノイシュ「この塔のどこかにデアドラと…クレプシード家が計画している『リダン』を阻止する手がかりがあるんだね」
ジークフリート「ああ。そして蜃気楼の塔の謎にも辿り着けるかもしれない」
ノイシュ様とジークフリート様の言葉に皆が頷く。
いつも以上に目的や事態は深刻となっているが、神様たちと力を合わせれば乗り越えられる…そんな気持ちになる。
ナビィ「それにしても本当にボロボロですし、あんな重そうな物まで投げ捨てられたみたいに落ちていて…もしかして恐ろしい魔物でもいるんでしょうか……!?」
ナビィに言われて目をやると、たしかに椅子などに混じって大きな家具のような物まで、どこかから放り投げられたかのように酷く破損して転がっている。
ミディール「か、壁に大きな穴まで…!あっ、まさかこれって…モンスターじゃなくて……」
ナビィ「あっ!もしかして…!」
エーディン「…そうね、これは多分デアドラが…」
ノイシュ「うん、そうだね。デアドラが魔物に物を投げつけられているかもしれないなんて…とても心配だよ。早く助けてあげないとね」
ノイシュ様の言葉に気のせいか、一瞬エーディン様とミディール様が固まったように見えた。
エーディン様はため息をつくと、ミディール様とノイシュ様を見る。
エーディン「…仮にあたしとミディールに攻撃してくるようなモンスターがいたらノイシュが倒してくれるわよ」
ノイシュ「うん、任せて。騎士として君たちを守るよ」
ヴァルキリー「心強いな。私もナビィやお前たちを全力で守るから安心してくれ」
ノイシュ様とヴァルキリー様が力強く頷く。これから先、恐ろしい魔物が潜んでいるなど、何が起きるかわからない。とにかく注意しながら探索を続けなければ……。
~一方、蜃気楼の塔・某所……~
ロイツェ『…どうやらお客人方がこの場所に辿り着くための道を見つけたようですね。さすがでございます…』
クレプシード家の執事…ロイツェは、真っ赤な紅茶を淹れながら呟く。
テーブルには色とりどりのお菓子やロイツェのお手製のベリータルトも並んでいる。
スヴェイ『ろいつぇ!おやつ、マダー?スヴェイ、待ちきれナイ!』
ヘレグ『あーんま食いすぎんなよ?今日の晩飯はナイト姉さんの手料理とロイツェのフルコースだってんだからさ』
ロイツェ『ヘレグ坊ちゃまもスヴェイ坊ちゃまも、このロイツェのアフタヌーンティーと晩餐を楽しみにしてくださり、光栄でございます。さて、ナイトシアお嬢様と今宵の晩餐のメニューをご相談しなくては…』
ロイツェたちに向けてドレスを着た少女が手当たり次第に物を投げている。恐ろしい事に棚などは窓を突き破り、外に落下している有様だ。
???「あなたがた!くだらない理由でわたくしを閉じ込めておいてティータイムや晩餐の話など、一体どういうことですの!?」
ロイツェたちに向けてドレスを着た少女が手当たり次第に物を投げている。恐ろしい事に棚などは窓を突き破り、外に落下している有様だ。
ロイツェ『まぁ、お客人…こちらの紅茶で落ち着かれては…』
ヘレグ『おいおい、まーた物壊しやがったのかよ?アンタさぁ、実はカミサマじゃなくてサスクワッ…』
???「今、何とおっしゃいまして!?」
ロイツェ『お客人、そのテーブルは……あぁ…』
ロイツェの静止もむなしく、大きなテーブルが少女の手によって放り投げられた。綺麗に並べられていたお菓子やティーセットが宙を舞い、ベリータルトのソースやトッピングがドロリと雨のように零れ落ちる。
ロイツェ『…まったく、とんだお転婆なお嬢さんでございますな……。『リダン』の際には家具や食器も一新していただきますよう、旦那様にご相談せねばなりませんね…』
ロイツェは宙に散らばるお菓子の数々にベリータルト、ティーセットまでも次々とキャッチする。そして、投げられて無残な形となったテーブルにそれらをそっと乗せてため息を吐いた。
ロイツェ『まぁ、目的は他にもありますゆえ…少しは目を瞑るといたしましょう…』
スヴェイ『ワー!ろいつぇ、スゴイスゴーイ!たると、イタダキマース♪』
ヘレグが言葉を失っている中、スヴェイはロイツェの身のこなしを見て喜び、楽しそうに笑いながらベリータルトに手を伸ばす。
ロイツェはタルトをスヴェイに丁寧に渡しながら静かに呟いた。瓦礫のほこりが舞う中、紅茶の甘い香りが空気に溶けて消えていった…。 - 【第一幕】
エーディン「結構歩いたけど…まだ手がかりらしいものはないわね」
ミディール「そ、そうだね…。物を投げてくるような、大きいモンスターもまだ出てこないし……」
周囲を警戒しながら探索をするが、デアドラ様の事はおろか『リダン』に関する情報もまだ掴めていなかった。
ノイシュ「焦らず、注意して進もう。もし疲れたりしたらすぐに言ってね?無理をしてはだめだよ」
デアドラ様がいなくなり、不安や焦燥など辛い心境であるはずのノイシュ様がエーディン様とミディール様に優しい笑顔を向ける。
ジークフリート「…お前も無理はするなよ。皆で力を合わせればデアドラも見つかるだろう」
ノイシュ「…うん、ありがとう。ふふ、君たちはとても優しくて…僕は本当に救われているよ」
そんなやり取りの中、さらに奥へ続く道を見つける。暗がりのためわかりにくかったが、この道が正しければ一歩前進したはずだ。
ヴァルキリー「そういえば、デアドラについて詳しく聞いていなかったが…クレプシード家に狙われるとなると、何か特別な力を持っていたりするのか?」
道を進みながらヴァルキリー様がノイシュ様に訪ねる。ヴァルキリー様はデアドラ様とまだ直接の面識はなく、その場にいた神様ではジークフリート様も同様だった。
ノイシュ様以外でデアドラ様を知る、エーディン様とミディール様は何故か言葉を選んでいるようで視線が宙を泳いでいたが……。
ノイシュ「うーん、デアドラは城で育ったけれど、おしとやかな普通のお嬢様、といったところかな?」
ミディール「ふ、普通…!?」
エーディン「ノイシュ、どんなフィルターをかけたらデアドラがそんな風に見えるの?」
ジークフリート「二人の様子からすると…デアドラはやはり何か変わったところがあるのか?」
ジークフリート様の言葉に思考を巡らすノイシュ様を、エーディン様とミディール様がじっと見つめる。
ヴァルキリー「ナビィはデアドラとも面識があるだろう?ノイシュの言う通り、おしとやかな普通のお嬢様なのか?」
ナビィ「えっ!?え~と…デアドラ様はなんというか…」
ノイシュ「……災い、そして悲しみを招く者」
ノイシュ様がぽつりと呟く。しん…と静まり返った空間で、皆の視線がノイシュ様に集中した。
ジークフリート「災いと悲しみ…?一体どういう事だ?」
ノイシュ「そのままの意味、だよ」
ノイシュ「デアドラの名前には災いと悲しみという意味が込められている。…僕もデアドラも、名前の意味なんかで悪い事が起きるなんて信じていないけれども、ね」
ノイシュ様は少し困ったような顔でそう言うと、真剣みを帯びた表情になり視線を落として話を続ける。
ノイシュ「…でも、名前の意味の通り、デアドラには災いをもたらす力が本当にあると妄信する人々がいるのは事実だから…名前のせいで何かに巻き込まれた可能性もあるかもしれない」
???『…さすが、赤枝の騎士、ノイシュ様でございます』
静かな拍手と共に、淡々とした声が響き渡る。この声にヴァルキリー様たちは聞き覚えがあった。
ヴァルキリー「その声…ロイツェ=クレプシードか!」
ロイツェ『左様でございます。私がクレプシード家の執事、ロイツェ=クレプシードでございます。再び生きた姿をお目にかかることができ、誠に喜ばしく思います…』
ノイシュ「クレプシード……僕の元にこの手紙を送り、デアドラを連れ去ったのは…お前なのか」
ノイシュ様は先程までの穏やかな雰囲気を一変させ、静かな怒りを秘めた瞳で冷たく問いかける。
その変化に皆が驚く。
ノイシュ様は普段、怒る事はほとんどなく、こういった口調で話す事もなかったからだ。
だが、ロイツェは全く動じていないようだ。ただ、モノクルの奥に存在していると思われる瞳が怪しく笑ったような…そんな不気味さがあった。
ロイツェ『あぁ…そちらの手紙は私が貴方様にお出しいたしました。デアドラ様については…少々お転婆が過ぎるお嬢様でしたのでね……』
ノイシュ「……っ!!デアドラに何をした!?」
ジークフリート「ノイシュ!気持ちはわかるが落ち着け。まだデアドラが無事である可能性はある」
ロイツェからの手紙を、血が滲むのではないかという程の力で握りつぶすノイシュ様の肩をジークフリート様が叩く。すると、幾分かノイシュ様も冷静さを取り戻したようだ。
ノイシュ「…ごめん。とにかくあいつを倒さなければ、ね」
エーディン「そうね!痛い目にあわせれば情報を引き出せるんじゃないかしら」
ミディール「ぼ、僕も…!僕も頑張って戦う、よ…!」
ヴァルキリー「そういう事だ。覚悟はいいな?」
ロイツェ『ふっ…、お客人方は余程ご冗談がお好きとお見受けいたします。私も冗談は嫌いではございませんが……』
そう言うとロイツェは長く鋭利な刃の武器を構える。
その刃は一点の曇りも無く、恐ろしいほど冷たい輝きを放っており、長さは胸元で構えてもロイツェ自身の顔を隠すほどだ。
あの刃で一体どれほどの獲物を切り裂き、貫いてきたのだろうか…。
ロイツェ『お客人方には丁重なおもてなしを、と旦那様より仰せつかっておりますゆえ……まずは意識を失わない程度に貫いて差し上げましょう。痛みの中でございましたら、もっと素敵な冗談が浮かぶかもしれません』
ノイシュ「僕がそんな事はさせない。そして、必ずデアドラを無事に助け出すよ」
ノイシュ様も自らの剣を抜き、構える。
他の神様たちも各々の武器を構えるなどし、ロイツェを見据える。
空間の緊張感が一気に高まり、肌に伝わりそうなほどだ。
ノイシュ「赤枝の騎士がノイシュ……参るっ!」
ノイシュ様の凛とした声が響くと同時に、神様たちがロイツェに向かって駆け出した……!
(ボス戦)
第1幕 ボス †
第2幕 †
エリア名 | 画像 | 行動 | 経験 | ジェム | その他 |
---|---|---|---|---|---|
エリア名 | 画像 | 行動 | 経験 | ジェム | その他 |
【第二幕】 | -? | +?~? | +?~? | -- | |
-11 | +16~22 | +55~330 | |||
-8 | +12~16 | +40~240 | |||
-9 | +13~18 | +45~270 | |||
-15 | +22~30 | +75~450 | |||
-12 | +18~24 | +60~360 | |||
-13 | +19~26 | +65~390 | |||
-14 | +21~28 | +70~420 | |||
-10 | +15~20 | +50~300 | |||
-17 | +25~34 | +85~510 | |||
-18 | +27~36 | +90~540 |
第2幕台詞 †
- 【第一幕】
ロイツェ『おや…、騎士様といえど隙が。貴方様は命までは奪いませんゆえ……まずはそのおみ足でも刺し貫かせていただきましょうか…』
ノイシュ「……っ!」
間合いが近い中、宙を蹴るように飛び上がったロイツェは手にした刃をノイシュ様の両足に向けて投擲する。
ノイシュ様は回避行動を取りつつ刃を剣で弾き落とすが、それでも全てを避ける事は叶わず、片足を鋭利な刃によって切り裂かれてしまった。
ロイツェ『チェックメイト…ですかな?』
ノイシュ「……っ、まだ僕は…!」
ミディール「ノ、ノイシュ……!」
???「お待ちなさーい!!」
ドォーン!!
片足の負傷により膝をついたノイシュ様に、ロイツェが再び刃を手にしながらゆっくりと近づく。
だが、何者かの声と共に壁が破壊され、巨大な砕片がロイツェに向かって投げつけられた。
ロイツェ『…私とノイシュ様の邪魔するとは…いささか無粋でございますな。目的を果たすまで大人しくしていただこうと、今しがた封印させていただきましたのに…』
飛んできた砕片を、ナプキンに隠されたトレイから取り出した例の武器を投げて簡単に粉砕しながらロイツェは言った。
そしてゆらりと己に攻撃を仕掛けた人物に視線を移す。
当然、その場にいた神様たちもその瞳に、主の姿を捉えていた。
ノイシュ「君はまさか……デアドラ…なのかい……?」
ノイシュ様は驚きともなんともいえない表情で目を見開き、こちらに近づいて来たその人物を見上げながら、震える声で問う。
そこには美しい顔を不機嫌そうに歪め、ドレス姿で仁王立ちする少女…デアドラ様がいた。
デアドラ「お待たせしましたわね、ノイシュ!あなたが危険な目にあっているのが我慢ならなくて、わたくし解放石と壁を少しばかり壊してこちらに来てしまいましたわ!」
エーディン「…ねぇ、解放石って自力で出れるものなのかしら?」
ナビィ「え~と…あまりそういうお話は聞かないのですが、ナビィたちが近くにいたり、封印が元々弱かったのかもしれません~!」
何にせよデアドラ様は少し型破りな神様なのかもしれない……。
その場にいたノイシュ様以外の皆が内心そう感じていた。
デアドラ「さぁ!わたくしとノイシュにこんな仕打ちをしたのですから、あなたにわたくしからリベンジさせていただきますわ!」
デアドラ様はロイツェに向かってそう言うと、何故かナビィを掴み上げた。
デアドラ「わたくし、武術は嗜んでおりませんが、物を投げる程度の攻撃でしたらできましてよ!…そぉーい!!」
ナビィ「え、え~!?デアドラ様、ナビィを投げないでくださ……きゃー!!」
恐ろしい掛け声と共にナビィをロイツェに投げつけるデアドラ様。
どうやら手当たり次第に近くにあるものは投擲してしまう癖があるようだ。
悲痛な悲鳴を上げながら投げ飛ばされるナビィを誰も助ける事ができないままいる。それほどのスピードだったのだ。
ナビィは衝撃、あるいはロイツェの攻撃を受ける事を想像し、ぎゅっと目をつむるが……。
ロイツェ『…やれやれ、このような可憐なお嬢さんを投げてしまわれるとは。お怪我でもしては可哀想でしょう…』
ナビィ「…えっ?な、なんであなたがナビィを!?」
ロイツェは片腕に優しくナビィを受け止めていた。
相変わらず感情の伺えない声が不気味ではあるが、ロイツェはナビィに特に危害を加えることなくそっと床に降ろす。
ロイツェ『ここでお嬢さんがデアドラ様の剛力で粉砕されてしまっては、今宵の晩餐の材料が…というのは冗談でございます』
ナビィ「ひ、ひえ~!やっぱりクレプシード家はこわいです~!」
泣きじゃくりながら急いで飛んでこちらに戻ってくるナビィに、デアドラ様ははっとした顔で謝る。
デアドラ「まぁ、わたくしったらごめんなさい!ノイシュの事で頭がいっぱいでついナビィを投げてしまいましたわ!」
ミディール「つ、つい……?」
ヴァルキリー「うっかり投げるものだろうか…ヒヤヒヤしたぞ」
ロイツェ『さて、デアドラ様はそちらの手に戻ってしまいましたが、私どもの計画が破綻するというわけではございませんゆえ……私はそろそろ失礼させていただくといたしましょう…』
ノイシュ「…くっ、逃げる気か!?待て!……っ」
ジークフリート「深追いはするな。…次は片足ではすまないかもしれないぞ」
ヴァルキリー「ジークフリートの言う通りだ。今は態勢を整えるべきだろう」
ロイツェ『…そうでございました。もしやもう遭遇されたかもしれませんが、あの招かれざる者達…ファルとサイリスも来ているようでございます』
ロイツェ『忌々しい事に私たちとお客人方の命を狙っているようでございますゆえ…彼女らに倒されるか、はたまた排除してくださるか…お手並み拝見といたしましょう……』
ロイツェの声だけが空間に響くが、その言葉を最後に何も聞こえなくなった。
どうやら完全にこの場から去ったらしく、一行の緊迫した空気が少し安堵感へと変わる。
ノイシュ「デアドラ、怪我はないかい?君が無事で、本当によかった…」
デアドラ「わたくしでしたら心配に及びませんわ!でも、ノイシュこそ怪我をしているんじゃなくて!?」
傷口を隠しながらデアドラ様に微笑みかけたノイシュ様だったが、当然流血が簡単に止まるはずもなくすぐに看破されてしまう。
ヴァルキリー「なるほど。傷は幸いそれほど深くはないようだが…ちゃんと治療しておかないとな」
エーディン「そうね。少し休憩を取りながら手当てをしましょ」
ミディール「うぅ…ノイシュ、痛そう……」
各々がノイシュ様の怪我を気遣い、手当ての準備を進めようとするが……。
デアドラ「ノイシュの手当てでしたらわたくしにお任せくださいませ!とりあえず、包帯の代わりに…ぬぅんっ!!」
ミディール「ひぇっ!?ま、またスカートを素手で千切ってる…!」
ジークフリート「…お前達がノイシュが話したデアドラの説明に驚いていた理由が十分わかったな…」
皆が唖然としている中、デアドラ様は勇ましく自身のドレスのスカートを引き千切ると、ノイシュ様の足へと渾身の力で巻きつける。
ノイシュ「い、痛いってデアドラ…!」
デアドラ「あなたは騎士なのだから、このくらい我慢しなくてはだめですわよ!」
エーディン「…デアドラ、その気持ちはわからないこともないけど、ちょっと傷を締め付けすぎよ。あと消毒や薬も忘れているわ」
エーディン様の言葉に納得したデアドラ様は、エーディン様と二人でノイシュ様の手当てをする。…皆、手当てを受けるノイシュ様の悲鳴は聞かなかった事にしているようだ。
ジークフリート「…一応手当ては済んだようだから、少し安静にすれば十分に戦えるようになるだろう。俺が肩を貸すから掴ま…」
デアドラ「それでしたらわたくしが!!」
ジークフリート様の言葉を遮ると、デアドラ様が猛スピードでノイシュ様に近づき、その身体を簡単に自らの肩に担ぎ上げた。いわゆる俵担ぎというものである。
ノイシュ「デアドラ、気持ちはとても嬉しいんだけれども…みんなの前でこれは少し恥ずかしいかな」
デアドラ「まぁ!いつもこうやって担いでますのに、ノイシュは恥らっていたの!?」
ジークフリート「デアドラ、お前がノイシュのために何かしたいのはわかるが……せめて別の抱え方をしてやれ。…ノイシュは怪我人だからな」
ジークフリート様はノイシュ様が怪我人だと言えばデアドラ様も応じるのではと考え提案すると、デアドラ様は首をちょこんと傾げた。
俵担ぎをされているため、こちらからノイシュ様の顔は伺えないが…声と状況から困ったような雰囲気は伝わる。
デアドラ「別の担ぎ方…あっ!わたくし、わかりましたわ!子どもの頃、絵本で読んだ事がありますの!たしか…こう、ですわね!」
自信満々のデアドラ様はノイシュ様を抱えなおすが…それはどう見てもお姫様抱っこだった。
ノイシュ様のほうが身長や体格は勝っているはずなのに、何故かデアドラ様の両腕に小さくおさまっているのは気のせいだろうか。
デアドラ「ノイシュ!これなら恥ずかしくありませんわね!」
ノイシュ「……うん、そうだね。ありがとう、デアドラ」
ジークフリート「…ノイシュ、すまない」
どこか諦めたように微笑むノイシュ様にジークフリート様は小さく謝罪した。
皆が呆気に取られている中、ノイシュ様を抱えたデアドラ様は塔の奥へと元気に歩き出したのだった。 - 【第二幕】
ロイツェとの戦いの末『リダン』や蜃気楼の塔の謎に関する手がかりは得る事はできなかったものの、デアドラ様を無事に救出する事ができた。一行は再び塔の探索をするべく、階段を登り続けていた。
ミディール「な、長い階段だね…。あの、デアドラ……」
デアドラ「はい?何ですの、ミディール?」
ミディール「疲れてない、かなぁって…思ったりしたんだけど……大丈夫?」
ミディール様がデアドラ様に少し言いづらそうに訪ねるが、先頭を歩いていたデアドラ様はくるりと優雅に振り向くと、疲れなど微塵も感じさせない笑顔を見せた。
デアドラ「わたくしならこの通り元気ですわ!だから心配は無用ですのよ?」
ジークフリート「…元気ならいいが…それよりも、な」
ノイシュ「…うん、君の言う通りだね。…ねぇ、デアドラ、階段で僕を抱えたまま腕を勢いよく動かすと、下から来てるみんなが危ないと思うんだ。それに、もう傷も良くなってきたから僕なら大丈夫だよ?」
なんとなく意図がずれているような、微妙な心境のミディール様とジークフリート様をよそに、未だにデアドラ様の腕に抱えられているノイシュ様が笑顔で優しく彼女に言った。
デアドラ「まぁ、わたくしったら!ノイシュがあまりにも軽いのでつい振り回してしまいましたわ!」
ヴァルキリー「…いくらノイシュが華奢なほうといっても、鎧を纏った騎士が軽いようには見えないんだが……」
ヴァルキリー様の言葉が聞こえなかったのか、デアドラ様はにこにことしながらノイシュ様を階段の踊り場に降ろす。
素早い手当てと持ち合わせた薬が良かったのか、ノイシュ様の怪我の具合は良好のようだ。
デアドラ「ノイシュ、もう痛みなどはございませんこと?」
ノイシュ「うん、君のおかげでまた戦う事ができそうだよ。ありがとう、デアドラ」
エーディン「よかったわね、ノイシュ。じゃあまた頂上目指して進むわよ」
エーディン様の言う通り、一行は蜃気楼の塔の頂上を目指している。デアドラ様がクレプシード家に捕らえられている時、どうやら塔の頂上で何かの計画を進めているような会話を耳にしていたのだ。
もちろん罠である可能性も捨てきれないが、今はこの情報を頼りに進むしかないため、手がかりを見落とさないように階段を登っている。
エーディン「それにしても、ミディールの言う通り長い階段ね。まったく先が見えないわ」
ミディール「う、うん…。あれ?何か聞こえない……?」
ミディール様がぴたりと立ち止まり、耳をピンと立てる。不安そうな表情で辺りを警戒し始めるミディール様の様子に、他の神様たちも歩みを止めた。
ミディール「……!!この音…う、上からだ……!」
ジークフリート「…罠か!エーディン、避けろ!」
エーディン「えっ?…きゃあっ!?」
ナビィ「エ、エーディン様ー!」
長い階段でさすがに少し疲労していたせいか、罠への反応に遅れたエーディン様にジークフリート様が叫ぶ。
だが、階段という足場の悪い場所である事や天井を利用した罠である事もあり、助けに行こうにも間に合わない。
天井からガラガラと大きな音を立てながら、太い鎖から下がった巨大なギロチンがエーディン様の頭上に落ちる……!
塔内の狭い階段の両壁を削りながら落下するほどの大きさのため、回避するのは絶望的だ……!
エーディン「……えっ、ミディール!?」
ミディール「よ、よかった…!あの、エーディン…怪我、してない?」
間一髪のところで、少し近い位置にいたミディール様がエーディン様を助け出していた。
普段大人しいミディール様が素早い動きで果敢に罠に飛び込んだ様子に、誰もが言葉を失っていた。
エーディン「あ、あたしは大丈夫よ。でもあんな罠に飛び込むなんて危ないじゃない!」
ミディール「はは…そう、だよね。で、でも……僕はエーディンが傷ついたりでもしたら、嫌だから…」
苦笑するミディール様と驚いた顔のエーディン様。二人のもとに他の神様たちも駆け寄り、座り込むエーディン様とミディール様を心配そうに覗き込んだ。
ノイシュ「二人とも!本当に怪我はしていないかい?」
デアドラ「怪我をなさっていたらわたくしが運んで差し上げますわ!」
エーディン「あたしたちは本当に大丈夫よ。ありがとうね、ミディール!すっごくかっこよかったわ!」
ミディール「わわっ!?エ、エーディン…!?」
エーディン様は普段は少しツンとしているが、ミディール様の事となれば別だ。エーディン様は、余程嬉しかったのかミディール様にぎゅっと抱きついた。
ヴァルキリー「なるほど。二人とも無事なようでよかったな、ジークフリート!」
ジークフリート「ああ。もう駄目かと一瞬思ったが…ミディールのおかげだな」
ナビィ「ミディール様、すごいです~!この調子で先に…」
???『おいおい、まだ安心するのは早すぎじゃねーの?ノーテンキなカミサマどもよぉ?』
???『ウン!安心するの、マダマダ早い!もっともっとアソボウヨー♪』
ノイシュ「……!誰だ?姿を見せろ!」
デアドラ「この声…聞き覚えのある声ですわね!クレプシード家の者じゃありませんこと!?」
突然聞こえた二つの声に、携えた剣に手をかけるノイシュ様と周囲を見渡すデアドラ様が声を荒げた。だが、どこにもその人物の姿は見えない。
???『まぁ、この階段登りきったら遊んでやるからさ。せいぜい生きてこっちに辿り着いてみな?』
声の主はそう言うと、二つの不気味な笑い声を上げる。不協和音のような重なる笑い声が消えると、再び空間に静寂が戻った。もう声の主は何もこちらに語りかけてこないようだ。
ヴァルキリー「この階段の上、か。まだ上など見えないが…とにかく進むしかないな」
ヴァルキリー様の言葉に頷いた一行はさらに階段を登り始める……。
ジークフリート「進めば進むほど罠が酷くなってきているな。皆、気をつけろよ」
ナビィ「進んでも進んでも、先が見えないです~…!」
ジークフリート様の言う通り、先程から壁から棘が飛び出してきたり、火や電撃を帯びた矢が飛んできたりと、一段登れば罠…そんな状況だった。
登っても先が見えない螺旋階段は皆を不安にさせる。
ノイシュ「そうだね。みんな、僕とジークフリート、ヴァルキリーで出来る限り罠に対処するけれど、とても危険だから気をつけ…」
デアドラ「ふぅんぬっ!!」
ノイシュ様が頷き、皆に注意を促す最中にたくましい声が響く。
皆がデアドラ様のほうを見ると、彼女はどこかから転がってきたのだろう、罠の大岩を頭上に掲げていた。
ナビィ「デ、デアドラ様~!?」
デアドラ「わたくしも皆さんのため、頑張りますわね!サポートならお任せくださいませ!…ぜぇいやっ!!」
デアドラ様は大岩を壁に投げると、壁に埋め込まれていた棘の罠が無残に破壊された。だが……。
デアドラ「あら?岩は砕けてしまいましたのに、この壁…元に戻ってしまいましたわ!ぬんっ!!」
破壊したはずなのにすぐに再生した壁から飛び出してきた鋼鉄の棘を掴んだデアドラ様は、全てへし折りながら首を可愛らしく傾げた。
???「そうよ。その罠は、闇雲に物理攻撃をしても破壊する事はできないわ」
その声と同時に壁の罠を、魔法の炎が星のように煌めきながら焼き払った。炎が消えると、そこには何もない壁があるだけでもう棘などは飛び出してこなかった。
エーディン「オイフェ!あなたも来ていたの?」
オイフェ「ええ、この塔の異変の影響が気がかりで調べにきたのよ」
???「オレたちもいるぜ!こんなところでミディールたちに会えるなんてな!なぁ、兄貴!」
???「おう!こいつは驚いたってもんよ!」
ミディール「マクリル…!それに、リルも……!」
オイフェ様と共にマナナン・マクリル様、リル様が一行がいる場所よりも少しばかり下のほうからゆっくりと階段を上がり、その姿を見せた。
マナナン・マクリル「この辺の罠はオレやオイフェみたいに魔法が使えるヤツじゃないと止められないみたいなんだよ」
リル「魔法の事は俺よりマクリルとオイフェが上手いからなぁ!すっかり二人の世話になっちまったよ!」
ヴァルキリー「なるほど…。残念ながら私たちの中にオイフェやマクリルに匹敵する魔法を扱える者はいなさそうだ。お前たちさえよければ手を貸してくれないか?目的は私たちも同じようなものだからな」
ヴァルキリー様はオイフェ様たちにクレプシード家が恐ろしい計画を企てている事、そして裏側で糸を引く人物の存在が見え隠れする今、蜃気楼の塔の謎を解き明かせるかもしれない事を伝える。
オイフェ「そういう事なら同行させてもらうわ。二人もいいわよね?」
リル「おうよ!人数が多けりゃ魔神だろうがクレプシード家だろうが倒せるだろうぜ!」
ナビィ「わ~!頼もしいです!」
ミディール「マクリルも、その…いいの?」
マナナン・マクリル「オレも行くぜ!友達が困ってるならなおさらだ!よろしくな、ミディール!」
マナナン・マクリル様は笑顔で言うと、ミディール様をぐいっと寄せて肩を組む。ミディール様も控えめだが嬉しそうに笑った。
オイフェ「じゃあ私とマクリルが中心になって罠を破壊するわ。みんなはサポートをお願いできるかしら?」
マナナン・マクリル「魔法破りはオレらがやるからさ!階段にかかってる魔法も解除するぜ!」
オイフェ様の言葉に皆が頷く。するとオイフェ様は早速魔法を放ち、仕掛けられた罠が発動する前に破壊していく。
マナナン・マクリル様いわく、この階段には罠だけでなく魔法もかけられているらしい。
ノイシュ「さすがだね。さっきも思ったんだけれど、オイフェの魔法の炎は綺麗だね。やっぱり心が綺麗だから魔法もそうなるのかな?」
オイフェ「えっ?ア、アナタ、いきなり何言ってるのよ!」
ノイシュ様がいきなり褒めだしたため、困惑するオイフェ様。さらにノイシュ様はくるりと振り返ると…。
ノイシュ「マクリル、君の魔法も君の心をあらわしているように見えるよ。優しくて力強い、そんなあたたかい魔法だなって思ったんだけれども…」
マナナン・マクリル「え!?ノイシュ、それってどういう…」
マナナン・マクリル様も同じように言葉をかけられて困惑している様子だ。
デアドラ「ノイシュ!あなた、わたくしがいるところでまたそのような言葉を!」
ノイシュ「い、痛いよ、デアドラ。僕は思った事を言っただけだし…そんなに引っ張ったら僕の耳が千切れてしまうよ」
エーディン「あ、二人とも気にしないで。ノイシュは無意識でああいう事を言っちゃうだけだから。いつもの事よ?」
マナナン・マクリル「そ、そうなのかー!びっくりしたぜ!」
あまりノイシュ様とデアドラ様と話した事がなかったオイフェ様とマナナン・マクリル様は、呆気に取られた様子で、両耳が真っ赤になるまで引っ張られるノイシュ様を見つめていたのだった。
ジークフリート「オイフェたちの協力で階段をどうにか登りきったが……まさかこうなっているとはな」
何とか階段の罠を突破し、空間が歪められた事によって無限に続いていた階段も、魔法によって抜け出す事ができた。
しかし、階段を登った先は一面の水面が広がっていたのだ。
ナビィ「ここを渡りきるのは大変そうです…!」
ヴァルキリー「そうだな。それに先ほどのように罠が仕掛けられているのを考えると、空を飛んで渡るのも危険そうだ。何か対策を考えなければ…」
リル「よっしゃあ!俺の出番だな!」
リル様は海を司る神様だ。弟のマナナン・マクリル様よりも魔法が苦手な分、海や水辺に関して詳しく舟を使って他の者を運ぶ事もできる。
マナナン・マクリル「オレとオイフェの魔法でもちょっと厳しいかもしれないし、ここは兄貴に任せるぜ!オレよりも兄貴のほうが海や水の事は詳しいもんな!」
リル「おう!みんな俺の舟に乗ってくれ!一気に向こうまで渡るぜ!」
リル様の声に、皆が彼の舟に乗り込む。さすがにこの人数は乗り切れないかと思われたが、さすが神の力が宿る舟だ。傾きもせず全員が乗り込む事ができた。
リル様の舟で水面を向こう岸ならぬ、向こうの床まで走る。
水面を観察すると、一面に水が張られているだけのように見える。しかし何故か床どころか底も見えず、とても深いように感じられた。
リル「…こいつは単なる魔法の水ってわけじゃなさそうだな。蜃気楼の塔の影響を受けたせいか、何かしらの魔法っていうよりも時間や事象の歪みで変質した感じだぜ」
リル様が視線を向けた方には、水面に波紋のようなものが生じていた。
そこには大きな裂け目があり、水は吸い込まれるように落ちていっている。
だが水は不思議と減ることなく、静かに波打っている。
オイフェ「そうかもしれないわね。この水が落ちていく先もいずれは調べたほうが良さそうだけど、今は早く先へ進みましょう」
オイフェ様の言葉に皆が頷く。
とにかく塔の上…おそらくは頂上にも近いような場所に『リダン』や塔の謎が隠されているのだろう。そう考えると、先を急がなければならない。
一行は静かな水の音を聞きながら、間もなく近づく水面の向こうの床を見つめた。
数々の罠や謎の水面を突破して一行が辿り着いたのは、色々な物が酷く散乱した部屋だった。今までは家具類が多い印象だったが、この部屋は壊れた玩具のような物が多く、壁には塗料とも何とも言いがたい色がいくつも飛び散っている。
???『よぉ。生きてアンタらがここまで来なかったら、退屈すぎて死ぬかと思ったわ。ご苦労さん』
???『スヴェイ、へれぐにイッパイ遊んでもらったケド、カミサマと早くアソビタイナー!』
神様たちに罠を仕掛けた犯人であるクレプシード家の者…スヴェイとヘレグが、床に散らばる壊れた品々を適当に手で遊んでは壊しながら、暗がりから姿を見せた。
デアドラ「やはりあなたたちでしたのね!あんな罠を仕掛けてきたり、悪だくみをしたり、わたくし許せませんわ!!」
デアドラ様は一歩前へ出ると、腰に手を当ててスヴェイとヘレグを睨む。すると、スヴェイは楽しそうな声で笑った。
スヴェイ『あっ!スヴェイのおやつ、ジャマした、サスクワッチー!』
ミディール「えっ……!?」
ナビィ「そ、それは言っちゃダメです~!」
デアドラ「今、何とおっしゃいまして!?」
ノイシュ「落ち着いて、デアドラ。君はたしかにサスクワッチのようなところもあるかもしれないけれど、とても綺麗だよ?」
スヴェイとノイシュ様の発言にミディール様とナビィが青くなる。
そしてデアドラ様からノイシュ様とスヴェイへと、床にあった壊れたソファーやメリーゴーランドの物と思われる馬や馬車が飛んできたのは言うまでもない。
ジークフリート「デアドラ…スヴェイはともかく、ノイシュにまで攻撃してどうする。それにノイシュも失言はあってもフォローのつもりだったと思うんだが…」
デアドラ「わたくしったら…失礼しましたわ!では…よいそぉい!」
ジークフリート様にやや呆れたように言われたデアドラ様は笑顔で納得すると、いつも通りの掛け声で瓦礫に埋もれてしまったノイシュ様をひょいっと抱き上げた。
デアドラ「ノイシュ、ごめんなさいね!わたくし、酷い事を言われたのかと早とちりでしたわ!」
ノイシュ「…うん、大丈夫だよ。瓦礫から出してくれてありがとう、デアドラ。…あと、もう降ろしてくれないかい?」
まるで小さな子どもをあやす時のように高く抱き上げられたノイシュ様は、下から覗き込むデアドラ様にやんわりと笑顔で言った。
オイフェ「…とにかく、そろそろアナタたちから話を聞かせてもらおうかしら?」
ヘレグ『話?さぁて、一体なーんのことだかわからねぇな』
エーディン「あなたたちが企んでる『リダン』とか塔のことに決まってるでしょう?」
ヘレグ『…あのさぁ、そう言われて俺たちがアンタらにへいへいって情報渡すと思うか?そのくらいわからないもんかねぇ、カミサマよ』
ノイシュ「そうか…。もちろん、君たちが望むのなら、僕もみんなも剣を取らなければならない。…さあ、どうするか決めるんだ」
ノイシュ様は自らの剣に手を添え凛として問いかけるが、返ってきたのはヘレグのへらへらとした笑い声だった。にやにやとした気味の悪い笑みを浮かべながら、ヘレグはこちらをゆっくりと見る。
ヘレグ『あー、アンタ。そんなにかしこまんなよ?疲れちまうぜ。…ハハ、どーりでアイツが張り切ってたワケだなぁ…で、騎士サマのご質問の答えだけど』
そう言うとヘレグは戦闘態勢を取る。どうやら戦いは避けられないようだ。スヴェイも続いて前に出ようとするが、ヘレグが制止する。
スヴェイ『へれぐ!スヴェイもアソビタイ!』
ヘレグ『お前、あの怪力女に物投げられて本調子じゃねぇだろ?今回は後ろに下がってな』
ヘレグはその態度や口調からは意外だが、弟であるスヴェイを可愛がっているようだ。少しでも危険な目にあわせたくないのだろうか。
そんな光景がなんともあたたかい反面、ひどく悲壮感を感じさせる。
マナナン・マクリル「それがアンタらの出した、ノイシュへの答えってわけだな!いくぜ!」
ヘレグ『ハハ!やってみな?無力なカミサマども!』
互いに譲れない想いや目的を胸に秘める中、ヘレグの挑発的な声と共に、戦いの火蓋が切って落とされた……!
(ボス戦)
第2幕 ボス †
陰り逝く時空 ヘレグ=クレプシード | |
---|---|
HP | 6000 |
報酬 | デアドラの進化石(赤) |
遭遇時 | 『俺たちから情報がほしいんだろ?だったら力ずくで聞いてみな!』 ヘレグがこちらへと駆け出し攻撃を仕掛けてくる! 倒して情報を聞き出そう! |
撃破時 | ヘレグが見せた一瞬の隙を突いて攻撃を仕掛ける! こちらの攻撃が効いたのか、ヘレグはよろめき、攻撃の手が緩む。 今が追撃のチャンスだ! |
第3幕 †
エリア名 | 画像 | 行動 | 経験 | ジェム | その他 |
---|---|---|---|---|---|
第二幕 | -? | +?~? | +?~? | -- | |
-11 | +16~22 | +55~330 | |||
-8 | +12~16 | +40~240 | |||
-9 | +13~18 | +45~270 | |||
-15 | +22~30 | +75~450 | |||
-12 | +18~24 | +60~360 | |||
-13 | +19~26 | +65~390 | |||
-14 | +21~28 | +70~420 | |||
-10 | +15~20 | +50~300 | |||
-17 | +25~34 | +85~510 | |||
-18 | +27~36 | +90~540 | |||
第三幕 | -? | +?~? | +?~? | -- | |
-21 | +31~42 | +105~630 | |||
-18 | +27~36 | +90~540 | |||
-23 | +34~46 | +115~690 | |||
-19 | +28~38 | +95~570 | |||
-20 | +30~40 | +100~600 | |||
-22 | +33~44 | +110~660 | |||
-25 | +37~50 | +125~750 | |||
-24 | +36~48 | +120~720 |
第3幕 台詞 †
- 【第二幕】
ヘレグ『チッ!まさかここまで押されるなんてな…!』
スヴェイ『へれぐ!怪我シテル!早くミンナのところに帰ろう?』
神様たちの連携に膝をつくヘレグにスヴェイが駆け寄り、顔を覗き込む。その様子に神様たちは思わず攻撃の手を止めた。
ヘレグ『…なぁ、騎士サマよぉ。『リダン』とこの塔の情報、アンタらに教えてやるからさ、見逃してくれねぇか?この通り俺らは降参だ』
ヘレグは両手を挙げて無抵抗である事を示した。
それを見たノイシュ様はゆっくりと目を閉じた後、剣をおさめる。
ジークフリート「おい、ノイシュ。ヘレグのいう事を鵜呑みにする気か?」
ノイシュ「…いくら敵だといっても、無抵抗の者を斬る事はできないよ」
ノイシュ様はジークフリート様のほうを振り返り、優しい笑顔で言う。戦闘時の荒々しくも果敢な姿とはまるで別人のようだと誰しもが感じた時だった。
ヘレグ『そうそう、俺は話の通じるヤツは大好きなんだ。嘘じゃないぜ?特に……アンタみたいなかわいーい甘ちゃんがな!』
ノイシュ「……!」
ヘレグがそう叫ぶと同時にスヴェイも笑い声を上げた。そして負傷など感じさせない動きで腕を振り上げ、二人でノイシュ様へと襲い掛かる……!
???「…君は相変わらず甘いようだな」
???「ま、そこがノイシュのいいところでもあるんだけどな!」
ノイシュ「…君たちは!」
間一髪というところで、ヘレグとスヴェイの攻撃を二つの武器が交差するように現れて阻んだ。
その武器を手にする人物はノイシュ様たちのよく知る二人だった。
デアドラ「まぁ、オグマ様にクーフーリン様ではありませんの!」
クーフーリン「お、デアドラも無事…というかお前は無事だよな」
オグマ「無駄話は後だ。今は戦いに集中しろ、クーフーリン」
戦いを得意とし、ノイシュ様と同じく戦場を駆けるクーフーリン様と、言語や霊感、勉学を司るほか武術にも長けたオグマ様…二人の神様が突然の登場したというのに、ヘレグもスヴェイは何故か不気味に笑い声を上げた。
ヘレグ『ハハ!やっとお出ましか、お二人さんよ!そっちの黒髪のカミサマは少しは慎重みてぇだが…お優しい騎士サマを狙えば、アンタらみたいな連中は黙って見てられねぇもんなぁ?』
スヴェイ『かくれんぼ、おーわり!キャハハハ!』
オグマ「俺たちの気配が近い事に気づき、ノイシュを狙えばすぐにおびき出せると確信したとでも?随分と策士を気取っているようだな」
ヘレグ『ハッ!お褒めに預かり光栄だってか?嬉しいねぇ…反吐が出るほどな』
オグマ様たちはこの部屋の近辺まで来ていたが、ちょうど戦闘が終わったところを目にしたため、身を潜めてヘレグたちを討つ機会をうかがっていたのだ。
ヘレグ『ま、見つけたとこであんまり意味ないんだけどな。…せっかくだ、イイ事教えてやるよ。ロイツェとシグリエの野郎が土産をほしがってたぜ。ま、会ってみりゃアンタらでも何かわかるんじゃねーの?』
そう言い残すとヘレグたちは姿を霧のように空気に溶け込ませていた。その姿を逃さまいと、クーフーリン様が手を伸ばして叫ぶが、小さな手が彼の服の裾を掴んだ。
クーフーリン「おい!お前ら逃げるのかよ!」
???「クーフーリン…追いかけたら…危ないの……」
???「モリガン、危ないから飛び出しちゃだめです!」
オグマ「ブリギッド、お前も早く下がるんだ!」
その間に完全に姿を霧散させたヘレグとスヴェイがいた周辺には、砂の粒子のようなものが舞っていた。それが空間に溶け込む中、スヴェイの声が響く。
スヴェイ『スヴェイたち、お土産、モットモット上の階で必要ダヨ!早く持ってくるとミンナ喜ぶ!ダカラ、お土産はカミサマたちが持ってきてネ!』
ヴァルキリー「ヘレグとスヴェイが言っていた土産…とは一体なんだろうか?」
ジークフリート「まだわからないことが多いな。とにかく進んで情報を集めるしかないだろう」
スヴェイの声はもちろんヘレグの声も聞こえない。おそらく完全にこの場から去ったのだろう。少しの安堵感の中、ノイシュ様がクーフーリン様とオグマ様、そしてモリガン様とブリギッド様にも声をかける。
ノイシュ「君たちのおかげで助かったよ。モリガンもブリギッドも来てくれてありがとう」
クーフーリン「戦場で助け合うのは当たり前だろ?それに、俺たち…」
オグマ「友人、だろう?」
クーフーリン「おい、オグマ!俺のセリフをとるなよな!」
ブリギッド「そ、そうだよ、オグマお兄ちゃん…!」
オグマ「ん?ブリギッドがそう言うなら…」
モリガン「…大丈夫……セリフ取られても、クーフーリンはかっこいいよ…」
エーディン「ふふ、あなたたちは相変わらずそんな調子なのね。クーフーリンも応えてあげたらいいのに。ね、ミディール」
ミディール「えっ!?そ、そう、だね……」
そんなやり取りの中、クーフーリン様たちがこの場に居合わせた理由を聞けば、やはりこの蜃気楼の塔の異変を感じ取った事、そしてノイシュ様がデアドラ様を探しに塔を一人で訪れているとの噂を聞きつけたからだった。
目的は偶然にも同じ…いや見えない何かによって定められた必然なのかもしれない。
一行は新たにクーフーリン様とオグマ様、モリガン様とブリギッド様を加えて塔の上層へと歩みを進めた。 - 【第三幕】
どれだけ塔を登り続けただろうか。
先程のクレプシード家との戦闘の後は塔の内部に生じた魔物が襲っては来るものの、罠や奇襲の類はなかった。
クーフーリン「結構広い場所に来たな!さっきまでと雰囲気も変わったみたいだし」
モリガン「……うん、危ないこと…少ない……」
オグマ「そうだな。足元もいくらか明るくはなったが油断は禁物だ。気をつけろよ、ブリギッド」
ブリギッド「はわわ~!転ばないようにしないと…!」
仄かに揺らめく暖色の照明に照らし出されたのは白くどこか気品のあるアーチ状の天井の広場だった。たしかに今までの廃屋のような場所とは雰囲気が違い、どこか圧巻されるようなものがあった。
デアドラ「ここはまるで城の舞踏会の会場みたいですわね!」
ノイシュ「そうだね。壁や天井は相変わらず亀裂が入っているけれども…ふふ、なんだかデアドラに城に連れてこられた日の事を思い出すよ」
オグマ「あぁ…たしかにデアドラがいつも通り城と舞踏会の会場を半壊させた時だったな。…ノイシュがデアドラに拉致された日は」
デアドラ「あら、酷いですわ!城は何回直しても相変わらず少し脆いですし、ノイシュも気づいたら持って帰っていただけですのよ?」
そんな会話にもう皆が慣れ始めた頃、広場の奥のほうに何かあるのを見つけた。
そこにはまるで図書館のように大きな本棚がいくつも並んでいた。床にも大小様々な本が散らばっており、中にはページの破けたものもあった。
エーディン「こんなところに本棚?本当に何でもありなのね」
マナナン・マクリル「この本、魔法に関係してるみたいだけど破けてて読めないなぁ」
オイフェ「こっちの本は印字がおかしな事になっているわ。塔の影響かしら…?」
???「…君たち、静かにしたまえ。このような場所で騒ぐとは感心できんな」
各々が床や棚の本を手に取って話していると、空気がぴたりと止まるような高圧的な言葉が響く。
声がした本棚のずっと奥を見れば、転がる壊れた支柱に腰掛ける人物がいた。
その周りにはたくさんの本が山積みになっており、まるで壁のようにそびえ立っている。
立ち上がったその人物は手にした本を閉じ、コツコツと靴の音を響かせながらこちらへ近づいてきた。
ヴァルキリー「お前は、ヴァーリじゃないか。どうしてこんなところに?」
ヴァーリ「ヴァルキリーか。この塔が危険だとかオヤジが言い出したからな、私も調査に出向いたまでだ。もちろん、オヤジとは別行動だがな」
ヴァーリ様は自身の父親…オーディン様の事を少し忌々しそうに口にする。その様子に苦笑を浮かべる者もいた。もちろん声には出さないように。
ノイシュ「ヴァーリ、君はこの塔が危険だと言っていたね。クーフーリンやオイフェたちも塔の異変を感じてここに来ていたんだけれども…君やお父上も何か感じたのかい?」
今まで合流した神様たちも蜃気楼の塔の『リダン』の影響について感じ取っていた。それは直感的なものであったり、周辺の森や動物の様子が最近おかしくなっていたりといったものだった。
ヴァーリ「はん、何か感じた、だと?君は世界の現状が掴めていない様だな。そんなようでは私から10点も取れないぞ」
ノイシュ「ふふ、ごめんね。僕は多分みんなよりも前にこの塔に来ているからわからない事もあって。ぜひご教示願いたいな」
ノイシュ様の柔らかい言葉にヴァーリ様は一度大きくため息をつくと、現在の世界の状況を細かく教えてくれた。
地域によっては魔物が凶悪化したり、植物が枯れたりといった現象が日々酷くなっているらしい。
ヴァルキリー「なるほど…。私たちが塔の内部にいる間に『リダン』の影響は各地に広まっているんだな」
ノイシュ「ありがとう、ヴァーリ。君の観察力や情報は素晴らしいね」
ヴァーリ「…まぁ、当然だろう」
ノイシュ様からの言葉にヴァーリ様は顔を背けて眼鏡を押し上げた。ヴァーリ様が嘘を言っているとは思えない。急いでこの事件を解決する必要があると、この場の皆が思った。
マナナン・マクリル「なぁ、アンタずっとここで本を調べてたのか?そうしたらこの塔の事とかわかったりしてない?」
ヴァーリ「そう簡単にわかるなら謎でも何でもないだろう。その代わり…」
ヴァーリ様は本棚が並ぶ中のさらに奥に顔を向けた。そこには、先程は本棚に圧倒されて気がつかなかったが、ぼんやりと照明に浮かび上がる古びた扉があった。
ナビィ「あっ、向こうに扉があります~!」
オグマ「待て、クレプシード家のことだ。あの扉に仕掛けを施していると考えたほうがいい」
ナビィ「あっ、確かに…!今まで罠が多かったですもんね!」
オグマ「…と言うことは。その仕掛けの解除法が君にはすでにわかったということか?」
ヴァーリ「ふん、そういうことだ。君はなかなかに話が分かるようだな」
デアドラ「さすがヴァーリ様ですわ!あの扉を壊せばいいんですのね!」
クーフーリン「ま、待て!とりあえず持ち上げた本棚を降ろして調べに行ってみようぜ?」
モリガン「…デアドラ、すごい……」
さっそく本棚を担ぎ上げたデアドラ様をクーフーリン様が慌てて制止する。デアドラ様は素直に納得し、本棚を床に置いたのだった。
ほこりが舞う中、ヴァーリ様が絶句していたのは言うまでもない……。
リル「なるほどなぁ。こいつは魔法でも力づくでもびくともしねぇ仕掛けのようだな」
ミディール「えっと…やっぱりヴァーリなら、開け方わかるの…?僕は仕掛けとかさっぱりで…はは…」
リル様が本棚の奥にあった巨大な扉を見上げながら言うと、ミディール様は自嘲気味に笑いながらヴァーリ様をちらりと見た。
ヴァーリ「当然だろう。あの場所にあった本を隅々まで読んで、私が導き出した方法だ。間違いはない。ノイシュ、こちらへ来い」
ノイシュ「僕かい?僕に出来る事なら喜んで手伝わせてもらうよ」
ヴァーリ様に呼ばれたノイシュ様が扉へ近づく。扉には何やら擦れて読めない文字や何かの紋章のような絵が彫られていた。どれも損傷箇所が邪魔をしてよくわからないが…。
ヴァーリ「この扉にはクレプシード家の暗号のようなものが書かれている。この損傷の上に言語はめちゃくちゃだがな。さらにこの絵…君には何かわかるか?」
ノイシュ「これは…赤枝の騎士団の紋章、だね」
ノイシュ様が扉の絵を指でなぞりながら答えると、ヴァーリ様が満足そうに、合格という言葉と共に口角を吊り上げた。
オグマ「なるほどな。ノイシュは赤枝の騎士団に所属する騎士だ。その紋章があるとすればノイシュの力で開ける事ができるかもしれないが…何故この塔の扉にそんな物が刻まれている?」
クーフーリン「あんまり心配していても仕方ないし、罠だった時はどうにか切り抜けるしかないだろ?」
この扉の細部をよく見れば、剣を差し込めるような隙間が亀裂に混じって存在した。ヴァーリ様の調べによると、ノイシュ様の剣が鍵となって扉が開くのだという。
ここで行き止まりな以上、一行は扉を開く選択肢を選んだのだった。
???『…ようこそ。初めて見る顔もいるな。私はナイトシア…お前たちが来るのを待ちわびていたぞ。さあ、こちらは私ひとり…討ち倒される覚悟のできた者から来るがいい』
クーフーリン「お前がナイトシアってやつか…!この前は戦う事はなかったけど、結構強そうだな!」
ナイトシア『フフ…そうか、お前は以前キャメロット城の一件の際に居合わせていたのだな。こうして剣を交えられる事を嬉しく思うぞ』
扉を開いて足を踏み入れた部屋は、ジークフリート様の言う通り闘技場、あるいは決闘の場というに相応しい開けた部屋だ。そしてヴァルキリー様の視線は部屋の中央にいる人物へと注がれている。
部屋の中央の広場には大剣を片手に立つ女性…ナイトシア=クレプシードが静かに、だが堂々とした威圧感を放ちながら立っている。
ナイトシア『私に打ち勝つことができれば、お前たちをこの先へ通そう。『リダン』や塔の謎…この先にお前たちの探すものがあるかもしれないぞ』
ナイトシアは手にした大剣を地面に突き刺す。
すると、何かの仕掛けが作動したようにナイトシアのいる場所を中心に床が円形に切り取られたかのように浮上した。
こちらから飛び移ればナイトシアの元へ辿り着けるだろう。だが、切り取られた床からは深淵が顔を覗かせる。
ナイトシア『…私としては不本意だが、シグリエが何やら実験の産物をここに解き放っていったようでな。せめて私との戦いの邪魔にならぬようこうさせてもらった』
するとどこからともなく幻影なのだろうか、異形の形となった霧のようなものがずるずると這い上がってきた。どうやらナイトシアと戦う者とこの異形と戦う者に分かれなければならないらしい。
ノイシュ「…僕は騎士としてあのナイトシアと戦いたい。いいかな?」
クーフーリン「そういう事なら俺も行くぜ!オグマも行くだろ?」
オグマ「待て、俺もあちらに行ってはここを凌ぐのに手薄じゃないか?」
???「そういう事ならアタシらに任せな!」
クーフーリン「えっ!?なんで師匠がここに!?」
オイフェ「ちょっと、アナタ何しに来たの!?」
一行が後ろを振り返れば、そこには好戦的な笑みを浮かべるスカサハ様が立っていた。その肩には部屋の照明に照らされて輝くバルディッシュが担がれている。
スカサハ「アタシだってこの一大事に大人しくしてるなんて性に合わないからね!クーフーリンもオイフェもここに向かったならアタシも行かないわけがないだろ?」
オイフェ「…アナタはいつもそうなんだから。まったく!」
スカサハ様のライバルであるオイフェ様は、口では不満そうに漏らしてはいるが、こうしてスカサハ様と共闘できる事に不思議と胸が高まっていた。
スカサハ様はその様子を察したのか楽しそうに笑う。その姿はなんとも頼もしかった。
スカサハ「さーて!アンタたちは早くあのナイトシアってヤツのところに行きな!」
ノイシュ「スカサハさん、ありがとうございます。…そういえばさっき、他にも誰か来ているような事を言っていたと思うのですが…?」
ノイシュ様がスカサハ様に一礼した後、疑問を口にした。するとスカサハ様はニッと笑うと開いたままの扉のほうに視線を移した。
スカサハ「ああ、アンタの知ってるヤツらをここに連れてきたんだ!いい加減こっちに来たらどうだ?」
ノイシュ「君たちは…ディルムッドにオスカーじゃないか!」
そこには少し視線を落としているディルムッド様と、明るく頼もしい笑みを浮かべたオスカー様が立っていた。
ディルムッド「…オェングス様からノイシュたちが危険だと聞いた…。違う騎士団といっても、ノイシュは…友人だしな…」
オスカー「とにかくディルムッドがいてもたってもいられないって感じだったからな!オレも一緒に来たんだ!」
???「あたしもいるわよっ!」
デアドラ「まあ、グラーニアも来ていたのね!」
エーディン「あなた、まさかディルムッドを追いかけてきたの?」
エーディン様がディルムッド様のほうを見ると、何故か目線を逸らされてしまった。どうやらグラーニア様を振り切ることができず、この場に連れてくる形になってしまったようだ。
ノイシュ「君たちが来てくれるなんて嬉しいよ。ありがとう。…でも、なんだか顔色が悪くないかい?」
ディルムッド「い、いや、なんでもない……」
オスカー「…まぁ、似た者同士、察してやってくれ」
ノイシュ様はデアドラ様の事に自覚がないようで、首を傾げていた。
そんな中、クーフーリン様の勇ましい声が響く。
クーフーリン「じゃあ、ここの幻影だか魔物だかわからない連中はスカサハ師匠とみんなに任せるぜ!俺たちは向こうに急ぐぞ!」
オグマ「わかった。必ずナイトシアを倒す。それまでみんな持ちこたえてくれ」
デアドラ「わかりましたわ!お気をつけてくださいませね!わたくしも微力ながらお手伝いを…ぐぬぉおお…ふんっ!!」
ミディール「ひぃっ…!?」
ナビィ「素手で敵を千切っちゃいましたぁ…!」
グラーニア「相変わらずなのね、デアドラって…」
そんな様子に無用な心配だったかと思うオグマ様だった……。
その横では、モリガン様とブリギッド様がクーフーリン様とオグマ様をそれぞれ心配そうに見つめている。
モリガン「…クーフーリン……大丈夫…?」
クーフーリン「心配すんなって!えっと、お前こそ…気をつけろよ?」
モリガン「……!う、うん…」
ブリギッド「オグマお兄ちゃんも気をつけて…!無理しちゃだめですよ!」
オグマ「ああ、わかってる。必ず戻ってくるから安心しろ。お前も危険だと思ったら無理はするなよ?」
こうして、ノイシュ様、クーフーリン様、オグマ様、ディルムッド様、オスカー様は床を蹴り、ナイトシアのいる場所へと飛んだ。
ナイトシア『お前たちが私の相手を務めるというのだな。…お手並み、拝見させてもらおうか!』
クーフーリン「……!来るぞ!」
ノイシュ「うん!みんな、行くよ!」
その得物の大きさからは想像できない速さで迫るナイトシアに、三振りの剣と三本の魔槍が向けられる……!
ぶつかりあう金属音が、ナイトシアとの戦いの開幕の合図となった……!
(ボス戦)
第3 ボス †
第4 †
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第4 台詞 †
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第4 ボス †
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第5 台詞 †
- (ボス戦)
第5 ボス †
第6幕 †
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第6 台詞 †
- (ボス戦)