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異界統治の野心王~武芸編~エリアデータ

Last-modified: 2019-02-05 (火) 21:40:10

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プロローグ

キャメロット城内は騒がしかった。
城内を忙しなく行き来する神々。皆一様に、分厚い本や大量の資料の束を抱えている。見事な晴天に目をくれず、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。理由は単純で、毎年開催される、アーサー主催の「ケルト諸勢力会合」の準備に皆追われていた。
飛び交う言葉は、近隣の国名や、王の名。実力者と名高い騎士や魔術師の名。城内の神々は、丸めた大量の資料を抱えて城内を右往左往していた。
そんな中、最近キャメロット城に務める事となった1柱の若い神はあまりの慌ただしさに、あっ、と、床のさりげない段差につまずき体勢を崩す。
視界がぐらりと傾いた。ああ、なんて自分は鈍臭いんだろう!また仲間たちに迷惑をかけてしまう!心で嘆きながら目を瞑る。その直後。
トスン。
「おっと、危ない」
恐る恐る瞳を開くと、誰かの腕の中。また恐る恐る顔を上げると、王であるアーサーが微笑んでいた。こんなドジで鈍臭い端くれが、アーサー様のお手を煩わしてしまうなんて!慌てて自立し、礼と謝罪を繰り返し伝える。
「いやなに、気にするな。怪我がなくてよかった!申し訳ないな、この時期はどうしても忙しくなってしまうんだ。何せ年に一度の大きな会合だからな」
とんでもない、と伝え何度も頭を下げていると先輩に呼ばれてしまった。仕事場に戻らなくてはならない。
王を見上げた。彼をこんな間近で見たのは初めてだった。自分と王とでは格が違い過ぎた。
「呼ばれているようだな。気を付けて行って来てくれ。ああ…それと。ここの段差は直しておくように言っておくよ。会合成功のために、君の力が必要だ。宜しく頼む」
なんと立派なお方なのだろう!こんな自分にすら丁寧な言葉を掛けてくださる王に感激し、再び頭を下げてから先輩のもとへ向かった。
初々しい神の背を見送ったアーサーは微笑をこぼす。そんな彼の頬を、ふわりと風が撫でた。
その風と共に、いつの間にか、彼の隣には女性が立っていた。
フードを取り、聡明な顔立ちを露わにする。アーサーの師匠であるマーリンだ。
「アーサーはかくして、またしても若い神を虜にするのであった」
「虜だなんて大袈裟だな。私は、仲間の皆には気持ちよく過ごしてもらいたいだけだ。すべての要望を聞くことは出来ないが、なるべく多くの望みを叶えたい」
「立派になったわね、アーサー。皆が付いてくるのも納得だわ」
マーリンは朗らかに笑って、キャメロット城内を軽く見回した。
「準備はどう?」
「順調だ。皆のおかげで場所も日程も調整済み。後は諸国へ通達を行うくらいだろう」
「議題の取り纏めと意見書の作成は?」
「昨晩終わらせたよ」
「最高ね!非の打ちどころがないわ。助言も不要のようだし、私も研究に戻ろうかしら」
マーリンは機嫌よくフードを被り、自身の研究室へ戻ろうと一歩を踏み出した。しかし二歩目は出ない。何かを思い出したらしく、振り返った。
「アンヌンの王は、今年も不参加かしら?」
口調は軽かった。その事実を深刻な問題として取り上げるのではなく、ただ確認をしたかっただけのようだ。
アーサーも同様に答えた。
「あそこの相互不干渉の原則は今もまだ有効だからな。特別な事情がない限りは、恐らく不参加だろう」
それは残念、と言いたげにマーリンは視線を斜め上に向け、二歩目を踏み出す。彼女は自らの研究室へと戻り、アーサーも王の間へと戻るのであった。


異界アンヌンの城内は静かだった。
必要最低限の従者は、必要最低限の定められた時間のみ城内に足を踏み入れることが許されている。そのため、場内はほとんど神の気配がなく、物静かだった。
しかし、従者たちもそれでよかった。アンヌンの王──アラウンの威厳に圧倒され、皆、彼と目と目が合うだけで何も言えなくなり、萎縮してしまった。いわゆる彼は、親しみやすい王ではなかった。
アンヌンは王の指針により、他の国から干渉を受けない代わりに他の国にも干渉しない、という相互不干渉の原則が結ばれている。そのため他国との交流がなく、国内も城内と同様に物静かな雰囲気を漂わせていた。
風のない昼下がり。アラウンは、豪勢に装飾された王の椅子に深く腰掛け他国から届いた書簡に目を通していた。相互不干渉を掲げているとはいえ、手紙は届く。その大抵が情勢を知らせるものだが、中には催し物の告知や招待状なども紛れていた。
アラウンは普段通り一通ずつ手紙を流し読みしては、机に積み上げていった。
手紙を捌く中、一枚の書簡が目に入るとアラウンの手が止まった。
「……もうそんな時期か」
彼が視線を落としているのは、ケルト諸勢力会合開催の知らせ。当然の如く、今まで一度も参加などしたことがない。しかし律儀に知らせだけは届く。
彼はその知らせの文面を読んだ。今までと変わりはないようだ。こちらも特に赴く理由がない。 例年通り不参加に心が傾いた。しかし、ふと点と点がつながった。
アラウンの脳裏に、この会合を利用する妙案が浮かんのだ。
この機会に、かねてから欲しかったアレを手に入ることができるかもしれない。ようやく。俺の物に。
そよそよと風が吹き始め、窓の外では葉が揺れた。風の中、その葉の間を縫うよう誰にも気づかれず、キラキラとした砂が舞っていた。
アラウンは自らの手元にある書簡に視線を落とし、考えに耽った。彼もまた誰にも気づかれずに、ひっそりと笑みを浮かべるのであった。


「ケルト諸勢力会合に参加?」
ダヴェドの大公プイスは、面喰らった顔をして言葉を繰り返す。
親友であるアラウンに呼ばれ城までやってきたプイスは、王座に座る彼の前に立っていた。姿勢を崩すことはなく、真っ直ぐに背筋を伸ばし友に視線を送る。初めこそ驚きで何度か瞬きを繰り返していたが、アラウンの話を聞けば聞くほど疑問点が多く、その表情は訝しげなものへと変容した。
「ダヴェドが?」
「ああ。お前は名も知られているし、実力もあるからな」
「しかし、相互不干渉の原則はどうするんだ」
「さして問題ではない」
いやいや、問題だろう。今まで「周辺諸国との相互不干渉」という原則を守り、他国と交流してこなかったのだ。何故今このタイミングで原則を破らねばならないのか。
アラウンは何故か堂々としていて、謎の自信に満ち溢れた表情をしていた。今まで連れ添ってきたこそ分かる。この顔をしている時の彼は、悪いことを考えている。彼の短所が前面に出ている時の顔だ。
今までだってそうだ。この顔の時に、何件ものロクでもない事件を起こしてきた。彼が何かに執着している時は、野心に支配されて欲深くなっている時なんだ。
プイスは分かりやすく溜息を吐いた。
「断る」
「なっ!?何故だ!」
「何を考えているのか知らないが、やめておいた方がいい」
「何も知らないくせに、わかった口を!」
「いやいや。アラウンのことなら大体わかるよ」
「むむむ…」
アラウンに対してこうも言い返せるのはプイスくらいだろう。お見通しだと言われてしまえば口をつぐみ、不満げにプイスを睨み付けるアラウン。プイスにとってその睨みは痛くも痒くもない。短い顎鬚を撫でながら、整然とした態度で会話を続ける。
「会合に出席したい理由は?」
「それは後々わかる。今お前に話すべき内容じゃない」
アラウンは機嫌が悪いまま頬杖を突く。足を組み替えると、プイスに鋭い眼差しを向けた。大抵の者が委縮してしまう恐ろしい目付きだ。
「俺に逆らうつもりか?」
「そんな高圧的な言い方をしても、俺には効かないってわかってるだろ?」
「とにかく、もう参加表明は出した。お前は行くしかないんだ」
アラウンの意志は固かった。プイスの意見を取り入れる気はなく、問いに答える気もないらしい。こうなったらテコでも動かないことをプイスは知っている。プイスは、溜息を吐いて肩を竦めた。
「では、仰せのままに」

第一幕 

エリア名画像行動経験ジェムその他
第一幕ケルト峡湾0.png-?+?~?+?~?--
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第一幕 台詞

  • 【異界統治の野心王~武芸編~】
    イベント冒険中に流れるお話の「プロローグ」はイベントTOPページのリンクから読むことが出来ますのでよろしければご覧下さい。
    また、イベント冒険をするために必要な「神力」は通常エリア冒険時に使用する「行動力」と一部仕様が違います。
    「神力」についてはイベントルールページに記載がございますので、ご一読いただければと思います。
    その他説明についてもイベントページやTOPのイベント情報などをご覧ください。
    それでは「異界統治の野心王~武芸編~」をお楽しみください。本編開始まであと3歩
    それでは「異界統治の野心王~武芸編~」をお楽しみください。本編開始まであと2歩
    それでは「異界統治の野心王~武芸編~」をお楽しみください。本編開始まであと1歩
  • 【第一幕】
    キャメロット城内。王の間に召集された神々は、アーサーの話を聞いてどよめいた。
    マーリン「ダヴェドが、今回の会合に参加するですって?」
    アーサー「ああ。アンヌンの王アラウンとダヴェドの大公プイスの連名で参加表明が届いた」
    オグマ「どういう風の吹き回しだろうか」
    オェングス「あの国の原則は、変わらず…だよね?」
    アーサー「原則を棄却する等の話は聞いていないな」
    アーサー「正直なところ、なぜ今回ダヴェドが参加表明をしてきたのかわからないんだ」
    マーリン「とりあえず、その事実を私たちに知らせてくれた、ということなのね」
    アーサー「その通りだ」
    アーサー「オグマ、オェングス。首脳会議前にも関わらず、はるばる来てくれてありがとう」
    アーサーは、オグマとオェングスに礼をした。
    オェングス「ううん。首脳会議当日に聞いていたら、とてもびっくりしちゃってたと思う。あらかじめ聞けてよかったよ」
    オグマ「俺の方も気にしないでくれ。そもそも俺はヌマダの代理だしさ」
    妖精国の王オェングス、ダーナの王ヌアダの代理のオグマ。二人とも堂々とした口振りだった。
    オェングス「動機は気になるけど、悪い神じゃないんだよね?」
    マーリン「アラウンのこと?クセはあるみたいだけど、悪い方ではないと聞いているわ」
    オェングス「だったら、会うのが楽しみだね。仲良くなれるといいな」
    オェングスはニコニコと笑顔で言う。アーサーも表情を明るくして情報を添える。
    アーサー「私は、プイスに会えるのも楽しみだ。彼は公明正大で実力者であると名高いからな!一度、語を交えてみたかった」
    マーリン「いいわね。アンヌンやダヴェドで行われている研究についても聞いてみたいわ!」
    盛り上がるアーサーたちを横目に、オグマだけは気乗りしないようだった。
    その様子に気付いたのはアーサーだった。
    アーサー「どうした、オグマ。気掛かりなことでもあるのか?」
    オグマ「まぁね。アンヌンには、俺に強い興味を抱いている神が居る、という噂を聞いたことがあってね」
    オグマ「それがどんな神で、どんな目的から俺に興味を持っているのかわからないけど」
    オグマ「面倒なことに巻き込まれなきゃいいな、と考えていたところ」
    アーサー「その噂は私も聞いたことがあるな」
    マーリン「アラウンかプイスのどちらかだったりして」
    マーリンは悪戯っぽく微笑む。オグマは「よしてくれよ」と言いたげにマーリンの視線を手で払った
    アーサー「いつも通り、会合の前に首脳会議を行う予定だ」
    アーサー「そこで彼らの出方を見てから、今後の身の振り方を考えても遅くないだろう」
    アーサー「会合は各国の親睦を深めるために実施する。この趣旨は変わらない」
    アーサー「今回も、実りの多い会合を開催できるよう力を尽くすことを約束するよ」
    アーサーの言葉を聞き、オグマは少し安心したらしく表情が和らいだ。
    アーサー「では、首脳会議では宜しく頼む。気になることがあったら何でも言ってくれ」
    アーサーは、マーリン、オェングス、オグマと順に握手し、力強く言った。
    ~場転中~
    一方その頃ダヴェドではプイスが神妙な面持ちで窓の外を見ていた。
    アラウンに押し切られる形で今回のケルト諸勢力会合の参加を決めてしまったが、本当によかったのだろうか?
    アラウンの様子がおかしいと気付いていたにも関わらず、彼を止めることができなかった。
    後々、他のケルト諸国との間に大きな問題が発生しなければよいのだが…。
    会合前に実施される首脳会議はもう数日後だ。
    自身もアラウンについて行くのだから、せめて何も問題が起きないよう細心の注意を払うことにしよう。
    プイスは改めて意思を固め、空へと視線を向けるのであった。
    ~首脳会議当日~
    キャメロット城の一室には、そうそうたるメンバーが集まっていた。
    キャメロットからはアーサーとマーリン。
    ダーナからはヌアダとネヴィン。
    妖精国からはオェングスとフィン・マックール。
    そして、ダヴェドからはプイスとアラウン。
    彼らは円状の卓を囲うよう椅子に座っていた。
    あなたはアーサーに護衛を依頼され、アーサーの背後に立っていた。代表者各位を見渡すと、ネヴィンと目が合った。
    ネヴィンは、よっ、と口パクをしてあなたに軽く手を振った。
    アーサー「これより、首脳会議を開催する」
    アーサーの一声で、皆が起立する。
    アーサー「本会議においては、遠慮せずに何でも言ってくれたまえ。宜しく頼む」
    アーサーが軽く一礼をすると、皆も頭を下げる。
    全員が再び着席した。アーサーは、机上の資料を捲った。
    アーサー「重要かつ歓迎すべきこの内容から話そう」
    アーサー「今回の会合に、初めて参加する国がある」
    アーサー「──ダヴェドだ。皆、アラウンとプイスに拍手を!」
    歓迎の意味を込めて、神々は2柱に拍手を送る。
    アラウンは笑みを携え、プイスは畏まり各方面へ頭を下げる。
    アーサー「それでは、自己紹介から始めようか」
    アーサー「まずは私から。本会合の主催、アーサーだ。キャメロットのことなら何でも聞いてくれ」
    マーリン「アーサー王を支える助言役のマーリンよ。宜しくね」
    あなたも護衛として挨拶を済ませる。時計回りで挨拶は進み、ヌアダがアラウンとプイスに顔を向ける。
    ヌアダ「ダーナの王、ヌアダだ」
    ネヴィン「私は、ネヴィンだ!これから宜しくな」
    アラウンの鋭い目付きは、まるでダーナの2柱を見定めているようだった。
    オェングス「僕は妖精国の王、オェングスだよ。これからよろしくね」
    フィン・マックール「僕はフィン・マックールだ。フィアナ騎士団の長を務めているよ」
    妖精国の2柱は、アラウンとプイスに友好的な笑みを向けた。
    キャメロット、ダーナ、妖精国、それぞれの代表の挨拶が終わるとプイスが口を開いた。
    プイス「皆さん、丁寧に有難う。俺はプイス。ダヴェドの大公だ」
    プイス「そしてこちらが我がアンヌンの王」
    アラウン「アラウンだ、宜しく。此度は皆様にお会いできて嬉しい限りだ」
    アラウン「我が国は相互不干渉を原則とし、今まではこのような場に参加してこなかったが…」
    アラウン「今回の機会に、皆様と親睦を深めたいと考えている」
    アラウン「至らぬ点も多々あるかと思うが、会合成功の為に尽力する。何卒宜しく頼む」
    さすがは一国を治める王。威風堂々と言い切り、臆しない。彼の貫禄が垣間見えた。
    アラウン、プイス両者の振る舞いに対して、不安を抱く者はなかった。
    その後も、首脳会議は滞りなく進んだ。情勢の共有や課題の確認など、予定していた議題を済ませていく。
    そして、最後の議題まで辿り着いた。
    アーサー「では、これが最後の議題だ。今回のケルト諸国会合で何を行うかを決めよう」
    アーサー「意見を聞かせてほしい」
    アーサーは皆を見回した。ネヴィンは主張するように自信満々に腕を組んだ。
    ネヴィン「ここはやはり、チョコレート大会だろうな!」
    フィン・マックール「何をする大会?」
    ネヴィン「全員でチョコレートを食べるんだ。素晴らしい大会だろう!」
    ヌアダ「却下、だな」
    ヌアダの一刀両断に、不満げに口を尖らせるネヴィン。
    オェングス「各国がそれぞれお花で作品を作って、お披露目するのはどうかな?」
    ヌアダ「ああ。実に平和的だね」
    マーリン「悪くないのだけど、その内容は過去に行ったことがあるのよね」
    フィン・マックール「そういえばそうだったね。あれは美しい景色だったなぁ」
    各国が思い思いに提案し、議論を重ねる。
    その議論の最中、おもむろに手を上げた神がいた。
    アラウン「俺からもいいか?」
    神々の視線が、アラウンに注がれる。
    アラウン「各国から代表を出すんだ。そして、武芸トーナメントを行う!どうだ。名案だろ?」
    ネヴィン「武芸…?」
    フィン・マックール「へぇ…トーナメントね」
    神々がアラウンの提案を咀嚼している中、プイスは申し訳なさそうに言葉を挟んだ。
    プイス「話を遮り、突拍子もない提案をしてしまい申し訳ない…」
    アラウン「不躾だったとでも言いたいのか?俺は提案したまでだ!」
    プイス「アラウン、言い方というものがだな…」
    プイスはアラウンを諌めるが、アラウンは聞く耳を持たずフンと鼻を鳴らす。
    プイスはそんな王の態度が気になって仕方ないようだったが、ヌアダとオェングスはアラウンの提案に興味を示していた。
    ヌアダ「トーナメントか…いいね。闘争心が擽られるよ」
    オェングス「うん!武芸の披露は視覚的にも派手だし、すごく盛り上がりそう」
    ヌアダ「他国の神の戦いを、間近で見れる機会は滅多にない。皆も喜ぶんじゃないだろうか」
    アラウン「ああ、ケルト諸国の戦力を今一度、皆で確認するんだ。今後の魔神対策にも活かせるとは思わんか?」
    フィン・マックール「アンヌンの王は、素晴らしい視点をお持ちですね。ますます武芸トーナメントというものに興味が湧いてきました」
    王たちが乗り気となれば、ネヴィンとフィン・マックールもその気になった。場はすっかり、武芸トーナメントの話で盛り上がった。
    マーリン「この内容なら、円卓の騎士たちも喜びそうね」
    アーサー「ああ…そうだな」
    アーサーは中立を保つために意見を控えていたが、賛成派が過半数を超えると、笑みを浮かべた。
    アーサー「満場一致のようだな!今年は、武芸トーナメントを開催しよう」
    アーサー「ルールの詳細や、代表の選抜方法、トーナメント表などは追って連絡する」
    アーサー「アラウン、素晴らしい提案をありがとう」
    アラウン「とんでもない。気に入ってもらえてよかった」
    アラウンの隣でプイスは王の様子を気に掛けていたが、彼とて他国からも支持された案を否定するつもりはなかった。
    アーサー「皆、拍手を!」
    神々は、催しの決定に対して拍手を贈る。室内が拍手の音で満ちる中………
    アラウンはひそかにほくそ笑んでいた。
    首脳会議は無事に終わり、アーサーは神々を見送った。
    部屋には、あなたとアーサーだけが残っていた。
    あなたがアーサーから依頼された護衛任務も、無事に終了だ。
    ほっと一息ついていると、アーサーに話し掛けられた。
    アーサー「ずっと立ちっぱなしで疲れたろう。申し訳ない」
    アーサー「君がいてくれたので、安心して会議を進めることができたよ。ありがとう」
    あなたは、問題ない、と答えた。アーサーはくすりと笑みを溢す。
    アーサー「まったくもって君は頼もしいな」
    アーサー「引き続きで申し訳ないのだが…ひとつ頼まれてほしいことがある」
    アーサーは神妙な面持ちで、言葉を続ける。
    アーサー「…アラウン、プイスに同行してくれないだろうか?」
    アーサー「主催国からの使者として、ナビィと共に行ってもらうのが自然だろう」
    それは構わないが何故、とあなたはアーサーに聞く。
    アーサー「少し気になることがあってな…。私の思い過ごしならいいのだが」
    アーサーは表情を曇らせつつ、革紐を巻き付け留めてある丸めた書簡をあなたに手渡した。
    アーサー「それは証明書だ。会合が終わるまでの期間中、君をキャメロットの使者として認める」
    いつの間に用意したのだろうか…。相変わらず彼は、二手も三手も先を読んでいるらしい。
    アーサー「それを見せれば、アラウンとプイスも同行を認めてくれるだろう」
    アーサー「しかし、もしも断られたら深追いはしなくていい。会合前に事を荒立てたくはない」
    アーサーの話を聞き、あなたは頷いた。
    アーサー「感謝する。堅苦しく話してしまったが…使者としてダヴェドの文化を楽しんできてくれ」
    アーサー「あの国の実態を知っている者は、ほとんどいないからな…。刺激的な出会いがあるかもしれないぞ」
    アーサーはあなたの肩をポンと叩く。それから部屋の出入り口へ歩みを進め、あなたのために扉を開けた。
    アーサー「城を出たところでマーリンが彼らと話しているはずだから、今からでも追い付ける筈だ。頼んだよ」
    この王はどこまでもお見通しらしい。あなたは部屋を出て、アラウンとプイスの元に向かった。
    アラウンとプイスは、あなたの同行を歓迎した。
    そうと決まればナビィも呼んで事情を伝える。
    あなた方は支度を済ませ、アラウンたちに合流した。
    最後まで彼らと話をしていたマーリンに別れを告げて、あなたはアラウンたちと共にキャメロット城を後にした。
    ダヴェドへ向かう道中、彼らはあなたとナビィに様々な話をしてくれた。
    アラウンとプイスの会話内容から、2柱の仲がいいことを知る。
    彼らは互いを尊敬し、慕っているようだった。
    あなたは、彼らの出会いについて聞いてみた。プイスは頬を綻ばせた。
    プイス「あれはひどい出会いだったな」
    アラウン「お前のせいだろ」
    プイス「絶対そんなことないと思うんだけどなぁ」
    アラウンに何を言われても、プイスは慣れているようで気にしていなかった。
    プイス「俺が狩りに出た時に、獲物を見つけたんだ。そいつに猟犬が群がっていたから追っ払って、獲物を得たんだが…」
    アラウン「その猟犬は、俺の猟犬だったんだ」
    ナビィ「プイス様が、アラウン様の猟犬を追っ払っちゃったんですか?」
    アラウン「そうだ!こいつが俺の獲物を横取りしたという訳だ」
    プイス「知らなかったんだから、仕方ないよなぁ」
    プイス「その一件で、アラウンがすごく怒ってしまってね」
    アラウン「当然だろう。そして、こいつの罪を償わせるために、領土交換を行ったのだが…」
    アラウン「交換した年の終わりに、こいつは俺の宿敵を倒してしまったんだ!あれは見事な戦いだったな」
    ナビィ「プイス様は強いんですね!」
    プイス「はは、ありがとう」
    アラウン「俺はその強さに感動し、プイスを認めることにした」
    プイス「かくして俺たちは、永遠の友情を誓い合ったという訳だ」
    アラウン「…フン。友人とはいえ、お前を切り捨てなければならない時に躊躇はしないぞ。覚悟しておけ」
    プイス「そうならないよう、努めるよ」
    彼らの話を聞いている間に、いつの間にか辺りの景色が変わっていた。
    キャメロット周辺では見られない変わった木や花が生い茂っている。
    更にしばらく進むと立派な城壁が見えてきた。都市への侵略者を防ぐため、入り口はひとつだけらしい。
    プイス「さぁ、どうぞ。ここがダヴェドだ」
    重く分厚い扉が開かれる。あなたとナビィは、ついにダヴェドへ足を踏み入れた。
    ダヴェドの民はあなた方を手厚く歓迎した。
    プイスとアラウンがあらかじめ連絡をしておいてくれたのだと思うが、宿も食事も立派なものが用意されていた。
    ナビィは委縮してしまい、あなたの後ろに隠れていた。
    ナビィ「な…なんだかすごいですね」
    プイス「ああ。皆、気合が入っているようだ。他国から客が来ることなどないからなぁ」
    宿まで案内してくれたアラウンとプイスは一度城へ戻るらしい。
    アラウン「何かあれば、全て宿の者に相談するといい」
    アラウン「ダヴェド内を散策したければ好きにすればよいが、城近辺や研究所にだけは近付くな」
    プイス「国外秘の情報を取り扱っている場所だから…悪いね」
    プイス「どうしてもそういう場所に行きたい場合は、俺が案内するから呼んでね」
    アラウン「その他、困ったことが起きたら、とりあえず俺かプイスの名を出しておけ」
    食事等の待遇にも負けず劣らず、アラウンとプイスもあなたとナビィにとても親切だった。
    彼らと別れた後、部屋に荷物を置き、まずは食事をした。
    ダヴェドの特産品や、郷土料理…珍しい飲み物や食べ物など、豪勢な食事が振る舞われた。
    接待は不要であると伝え、あなたはナビィと一緒に食事を楽しんだ。
    ナビィ「こうして、ゆっくりと食事をするのは久々ですね!」
    近頃は冒険で忙しかった。ナビィの言葉にあなたは頷き、また肉を一切れ口へ運んだ。
    食事後、ナビィと共にダヴェドの町を散歩した。
    キャメロットの城下町ほど栄えてはいないようだが、すれ違う者たちは皆生き生きとしていた。
    ここダヴェドで充実した生活を送っている証拠だろう。
    町では、マーリンが喜びそうな簡単な魔法器具や、アーサーが好きそうな置物などを見繕った。
    ナビィもご機嫌な様子で、いつのまにか愛らしいアクセサリーを手に持っていた。
    散策が終わり宿に戻る頃には、もう日が落ちていた。
    再び用意されていた豪勢な食事を終えたあなた方は、部屋で少し話をした。
    ダヴェドのこと、町で見つけた面白かったもの、武芸トーナメントについて、など…。
    そうして話をしている内に眠気がきてしまい、あなたとナビィは眠りについた。
    ~その夜~
    窓から差す月明かりで、あなたは目を覚ました。
    起き上がり、窓から町を見下ろし眺めた。明かりがついている建物は数軒のみで、それ以外はすっかりと寝静まっていた。
    平和な夜の景色を眺めながら、あなたは物思いにふけった。
    ──…ふと、何かが視界の端に映った。裏路地の方で何かがちらちらと動いている。
    フードを深く被った、何者かの姿のようだ。
    目を凝らすと、長髪が揺れていることに気付く。あの長髪は…アラウンのものではないだろうか…。
    あなたはベッドから降りて外套を羽織り、静かに部屋を出た。
    月明かりに照らされたレンガ敷きの道を歩き、先ほどの姿を追う。
    路地裏の角を曲がろうとした直後、路地の先から声が聞こえてきた。
    あなたは物陰に身を隠し、耳をそばだてた。
    アラウン「……で……が、…」
    間違いなくアラウンの声だった。こんな夜中に、誰と話しているのだろうか。
    ???「だ……ああ…、…任せ……」
    アラウン「本当に…、…ナメントは……、……だ…、…ぞ」
    聞き取りづらいが、武芸トーナメントの話をしているらしい。
    もう少し近付いて話の内容を聞き取ろうとしたが、話し声が聞こえなくなった。
    少しだけ顔を出して見てみると、そこにはアラウンだけがいた。話し終えたのだろうか、その場を立ち去るアラウンの背中だけが見えた。
    それにしても、話し相手はどこへ…?
    アラウンがいなくなってから、先ほどまで彼が立ち止り話していた場所へ向かってみる。
    壁などを触ってみるが何の変哲もない…ただの路地裏のようだ
    不思議に思いながらも、宿へ戻ろうと踵を返した。
    しゃり……。
    足元で小さな音が鳴る。視線を落とすと、そこには銀色の砂が落ちていたのであった。
    ~武芸トーナメント当日~
    (ここで背景変化)
    ついに、その日がやってきた。
    トーナメント当日、あなたはアラウンとプイスと共に会場入りした。
    キャメロット、妖精国、ダーナの神々が一堂に会し、会場内はすでに盛り上がっていた。
    各国の王と代表には個別の控室が割り当てられていた。
    アラウン「俺たちは控室に行く。お前も来るか?」
    あなたは少し考えた後、先にアーサー王に挨拶をしてくる、と伝えた。
    ナビィ「では、ナビィは先にアラウン様たちと一緒に控室に行っています~!」
    プイス「そうだな。ぜひ土産も渡してきてくれ」
    アラウンたちに見送られ、あなたはアーサーの元へと向かった。
    賑わう神々の間を縫って進み、あなたはアーサーがいる部屋に辿り着いた。
    ドアをノックし名乗ると、中から「入ってくれ」とアーサーの声がした。
    ドアを開けて入ると、室内にはアーサーしかいなかった。
    窓辺に立ち、会場の神々の様子を眺めていたアーサーは振り返った。
    アーサー「おかえり。帰りを待っていたよ」
    彼は、あなたに優しく微笑みかけた。
    あなたはダヴェドでのもてなしや、出来事についてアーサーに伝えた。もちろん、夜に目撃したことも。
    アーサー「残された砂…か」
    アーサーは真剣な面持ちで考え込んだが、すぐに柔らかな表情に戻しあなたを見つめた。
    アーサー「ありがとう。少しわかったような気がするよ。君のおかげだ」
    アーサー「もしも…このトーナメント中に何かが起きた時…。緊急時には、君の判断で動いてほしい。頼りにしている」
    アーサーはあなたに片手を差し伸べる。あなたはその手を取り、しっかりと握り返した。
    ~武芸トーナメント、開幕!~
    観客席の神々は盛り上がり、中央のアリーナに注目が集まった。
    主催のアーサーが登壇し、本トーナメントの趣旨の説明と開幕の挨拶を行った。
    アーサー「では堅苦しい話はここまで。…早速、第一回戦を始めよう!」
    マーリン「第一回戦は、キャメロットVSダーナよ!」
    進行役のマーリンの言葉を合図とし、各国の代表がアリーナに現れると、観客席から歓声が上がった。
    ランスロット「騎士として正々堂々と戦おう。手加減はしないぞ」
    ガラハッド「補佐は僕に任せてください、ランスロットさん!」
    オグマ「ダーナの為にも、負けるわけにはいかないな」
    ブリギット「出来る限り、がんばります!」
    キャメロット代表のランスロットと補佐のガラハッド。ダーナ代表のオグマと補佐のブリギット。
    アリーナに出揃うと双方の応援の声が飛び交った。
    マーリン「それでは…第一回戦、始め!」
    初めに攻撃を仕掛けたのはランスロットだった。地を蹴り、一気にオグマとの距離を詰める。
    ランスロット「はぁぁ!」
    ランスロットが振り下ろした刃を素早く避けたオグマ。
    オグマ「さすがはキャメロットの騎士、太刀筋に迷いがない」
    ブリギット「…あっ、後ろ!」
    ガラハッド「僕が、動きを止める…!」
    ガラハッドが背後から飛び掛かるも、ブリギットの言葉から動線を予測しオグマはその攻撃を避けた。
    その後も戦況は一進一退。
    観覧席ではキャメロットの騎士たちが同志の戦いを見守っていた。
    ガウェイン「拮抗しているな」
    トリスタン「ああ。だが、ランスロットは攻めあぐねているようだ…」
    グィネヴィア「ランスロット様!頑張ってください…!」
    キアン「オグマは慎重だね?」
    エリウ「戦いの組み立てに悩んでいる…という訳ではなさそうね」
    フォドラ「ええ、オグマさんがそろそろ仕掛けそうですよぉ」
    フォドラの読み通り、オグマは体勢を整えた。
    オグマ「キャメロットの騎士!怪我をしないように…気を付けろよ!行くぞブリギット!」
    ブリギット「はい、お兄ちゃん…!」
    オグマは地を蹴り目にも留まらぬランスロットへ近付き、猛攻を開始する。
    ブリギットは辿々しくもなんとかガラハッドの攻撃をしのぎ彼の相手をすることによって、ランスロットとガラハッドを分離する。
    ランスロット「くっ…負けるか!」
    ランスロットも剣技で彼の攻撃を受け流すが、徐々に押され始めてしまう。
    ブリギット「えい…!」
    ガラハッド「うわぁ!」
    ガラハッドの悲鳴に、一瞬、ランスロットの気が逸れた。
    オグマがその隙を逃す筈がなかった。
    瞬時に繰り出した攻撃で、ランスロットの剣を弾く。
    剣はランスロットの手元から離れ、宙を舞いそして、地へ突き刺さった。
    剣の行方に目を奪われた会場は静まり返った。
    ランスロットは、ゆっくりと両手を挙げた。
    ランスロット「…お見事」
    その一言で、会場はワッと歓声に包まれた。それぞれの名を呼ぶ声、賞賛の声、などが飛び交い熱気に帯びた。
    ランスロットとオグマは固く握手を交わし、ガラハッドとブリキットも双方へ頭を下げた。
    マーリン「勝者はオグマ!初戦からすごい戦いね!」
    マーリン「次は…第二回戦を始めましょう!」
    アリーナに出てきたのは、妖精国代表のディルムッドと補佐のオスカー。
    そして、ダヴェド代表のプイスと補佐のアラウン。
    ディルムッド「手合わせ願う。宜しく頼む」
    プイス「ご丁寧にありがとう。こちらこそ宜しく」
    オスカー「ディルムッド!いつも通り後ろは俺に任せろ」
    アラウン「プイス、お前に任せる」
    前のめり気味なオスカーと違い、アラウンは戦いに参加する気のないようだ。
    プイスも慣れた様子で、了解、とだけ返事をする。
    マーリン「さぁ、準備はいいかしら?第二回戦、開始よ!」
    戦いの火蓋は落とされた。2柱は同時に動き出し、アリーナの中央で武器がぶつかりあい戦いが始まる。
    ディルムッドをサポートするようにオスカーも参戦するが、やはりアラウンはアリーナの端で腕を組み立っているだけだった。
    グラーニア「ディルムッド!がんばってー!」
    フィン・マックール「応援に気合が入ってるね、グラーニア」
    グラーニア「それはもちろん!だって、ディルムッドに勝ってほしいわ!」
    フィン・マックール「うーん、複雑な気分だなぁ」
    サーバ「あんなに強いディルムッドが負けるとは思えないけど…」
    なにせプイスの実力は未知数だ。観客の神々は、戦況に合わせて双方を双方応援しながら戦いの行方を見守る。
    ディルムッド「はぁぁっ…!」
    ここぞ、と言う時に、ディルムッドが次の攻撃を繰り出そうとした瞬間…!
    カキンッ──……!
    ディルムッド「……!?」
    プイス「怪我はさせない方がいい…よな?」
    いつのまにか、ディルムッドの武器は弾かれ遠くに飛ばされていた。
    先程のキャメロットとダーナの戦いの決着を真似たらしいプイスは首を傾げた。
    オスカー「い、いつの間に!?」
    ディルムッド「くっ…負けを認めよう…」
    マーリン「素晴らしい立ち回りね!勝者は、プイス!」
    観客席も呆気にとられ、静まり返った。しかし、勝者の名を呼ぶマーリンの声で再び活気を取り戻した。
    まさか、あのディルムッドが負けるなんて!プイスとは一体、何者なんだ…!?
    会場はそんな雰囲気で包まれ、一時騒然となった。
    マーリン「では次がとうとう、決勝戦ね!」
    オグマ「興味深いな。まだ手の内を全て明かしていないみたいだし」
    プイス「はは、買い被り過ぎだな。負けないよう精一杯頑張るよ」
    ついに、オグマとプイスの戦いが始まる。あなたも、戦いの行方が気になり、アリーナの脇の控え席からアリーナを見つめる。
    オグマの補佐は前回同様ブリギット。プイスの補佐は…、とアラウンの姿を探すと彼は素知らぬ顔をしてあなたの隣にいた。
    アラウン「お前がプイスの補佐をしろ」
    思わぬアラウンの言葉に、あなたは目を瞬かせる。
    アラウン「お前はまだダヴェド側の使い、という立場だろ。俺はプイスの戦いに手を出す気がない。俺の代わりに行ってこい」
    アラウンに背を押され、あなたは半ば無理矢理アリーナに押し出された。ダヴェド側の使い、として自分が出てもいいのか?窺うようにアーサーの方を見ると、彼は頷いた。
    プイス「巻き込んでしまってごめんね。君の手を煩わせる前に終わらせるから」
    困ったようにプイスはあなたに耳打ちし、再びオグマをまっすぐ見据える。
    マーリン「両者出揃ったようね!それでは、決勝戦──…開始!」
    (ボス戦)

第一幕 ボス

オグマ
オグマ.jpg
HP500
報酬[勝利を我が手に]アーサーの解放石
遭遇時【第一幕】エリアボス出現!
撃破時プイス&あなたの勝利!

第二幕

エリア名画像行動経験ジェムその他
第二幕特別授業0.jpg-?+?~?+?~?--

第二幕台詞

  • 【第二幕】
    戦いは白熱し、会場内は大いに盛り上がった。そして、決勝戦を制したのは──…。
    マーリン「勝者は…プイス!」
    戦いは拮抗していたが、最後の最後でプイスがオグマの動きを見切った。
    捉えられたオグマは避けきれず、勝負は決した。
    オグマ「プイスは強いな!見事だった」
    プイス「ありがとう。オグマの強さも噂どおりで感動したよ」
    両者は握手を交わし、会場内は割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
    武芸トーナメントは無事に終わった。最後の表彰式を行うため、プイスたちは一度アリーナから降りる。
    あなたとプイスもアラウンの元に戻ると、彼は上機嫌だった。
    アラウン「お前たち、よくやった!これで計画が上手くいく…」
    アラウンは独り言を漏らしながら、辺りを見回した。そして目当ての神を見つけるとそちらへ歩み寄る。
    アラウン「いい試合だったな、オグマ」
    オグマ「アラウン、ありがとう。プイスはとても強いな。彼がいればアンヌンもダヴェドも安泰だろう」
    アラウン「ああ、プイスのおかげで俺も楽させてもらっている」
    アラウン「…ところで。俺はまどろっこしいのが嫌いなので単刀直入に言おう。俺の部下にならないか?」
    オグマ「部下に?」
    アラウン「ああ。最高の地位を用意しよう。不自由はさせない」
    アラウン「どうだ。もし条件があるのなら言ってみろ」
    プイス「お、おい、アラウン!急に何を言いだすんだ」
    ブリギット「…お兄ちゃんが、ダヴェドに…?」
    周りにいた者たちは困惑し、アラウンだけが自信満々にオグマを見つめていた。
    オグマも少し驚いたようだったが、すぐに口を開く。
    オグマ「……誘いは嬉しいが、俺はアラウンの部下にはならない。何にも縛られたくないんだ」
    アラウン「なんだと…。どうしても無理なのか?地位も名声もお前のものになるというのに…」
    オグマ「ああ、今の生活に満足しているしな。申し訳ないが難しい話だ」
    アラウン「何故…!」
    プイス「アラウン、そのくらいにして戻るぞ、控え席に」
    プイスはアラウンの手を取るが、それを振り払うアラウン。
    アラウンの表情は怒り交じりのものへと変貌し、彼の周りに禍々しいオーラが漂い始めた。
    ──明らかに、神の力とは違う。何か、異質な…別の力が混ざっている。
    アラウンたちの不穏な雰囲気は辺りの神々にも伝わり、次第に皆の視線が集まり始めていた。
    アラウン「ならば…、こうするしかあるまい!お前は私の部下になるべきだ、オグマ!!」
    アラウンは、指先で宙に魔法陣を描き術式を展開した。
    オグマ「…!?こ…これは…ッ!っ…ぅ……ァ…」
    オグマは苦しげに胸元を押さえ、うずくまる。
    オグマ「お……俺は、アラウン…の………部下に……部下に……」
    まるで自身に言い聞かすように呻くオグマ。彼は、戯言のようにアラウンの名を繰り返し発する。
    その異様な事態をいち早く察知し、飛び出したのはマーリンとアーサーだった。
    マーリンは、アラウンの術式に対抗する呪文を詠唱する。
    アーサーはオグマの体を支え耳元で何かを囁き、彼の自我を呼び寄せているようであった。
    アーサー「…オグマ!聞こえるか、この声が…」
    オグマ「うっ……ぅぅ……は…」
    アラウン「フン、ちょっとした術式を唱えただけではないか」
    プイス「アラウン!やりすぎだぞ!」
    プイス「皆様、本当にすまない…我が王がとんでもないことを…」
    アーサー「…アラウン。今のは強制支配の術式だな。誰に教えてもらった?」
    アーサー「今の術は神の力によるものとは少し違っていた」
    アラウン「フン…」
    アーサー「それに…その砂は何だ。その術式を使う前には落ちていなかった」
    アーサーはアラウンの足元を指差す。確かに、不審な砂が落ちている。あなたはその砂を見て、ハッとした。
    見覚えがある。あれは、ダヴェドでの夜、路地裏に落ちていたものと同じだ。
    アーサー「今まで不参加だったにも関わらず今回、会合参加を決めた理由がずっと気に掛かっていたが、狙いはオグマだったか」
    プイス「…おい、アラウン。そうなのか?」
    アラウン「オグマが欲しいのは事実だ。この会合を利用したと言えばそうなるかもしれんな」
    プイス「…何か企んでいるとは思ったが…開いた口が塞がらないよ俺は…」
    マーリン「あらあら。潔いわね、アラウンの王様は」
    アーサー「…だとしても、誰かにおかしなことを吹き込まれたんだろう」
    アーサー「オグマを手に入れるには会合が最適だ、年に一度のチャンスだ、この術式を使えば確実だ…とでもな」
    アーサー「アラウン、協力者は誰だ?」
    アラウン「協力者などいない!」
    プイス「そんな術式、ダヴェドにないだろ。怒らないから教えてくれよ、アラウン」
    アラウン「知らん!」
    知らないの一点張りで口を割らないアラウンを、プイスは優しく諭した
    ヌアダ「…まるで兄弟のようなやりとりだな…」
    ネヴィン「うむ、プイスが兄だな!」
    キアン「アラウン様の方が歳上だって聞いたことがあるけどなぁ」
    アーサー「アラウン。ならこの砂はどう説明する?」
    アラウン「それは…」
    アラウンは言葉に詰まった…その直後。
    バヂバヂバヂ───…!
    突如として、空間に裂け目が現れた!
    オグマ「…!気を付けろ!何か現れるぞ…!」
    ヘレグ「何か、とはちょっと心外じゃん?」
    シグリエ「あながち間違いでもないですけどネ」
    聞き覚えのある声に、あなたは目を丸めた。裂け目から現れたのは、クレプシード家のヘレグとシグリエだった。
    シグリエ「やっぱり神は頭が悪くて使えないですネ。すぐ感情的になりまス。せーっかく完璧に進んでた作戦が失敗でス」
    シグリエ「だから神なんか使えないって言ったじゃないですカ、ヘレグ」
    ヘレグ「まあまあ、そこそこは上手くいったじゃん?」
    ヘレグ「大成功!じゃなくても、カミサマたちが戦ってこんなにも力が溢れてるし、あの術も試せたから十分だろ」
    ヘレグは、オグマの方へ視線を向けた。
    シグリエ「甘いんですヨ、ヘレグの作戦ハ。やるならもっとやりようがありましタ」
    ヘレグ「はいはい。ワザワザ文句を言いながら手伝ってくれてありがとさん」
    ナビィ「何でこんなことをするんですか…!?ギリシャの時には協力してくれたのに…」
    ヘレグ「あん時は、利害が一致したから協力したんだ。元々オレらはあんたらカミサマに協力するつもりはないぜ?」
    ヘレグ「あくまで、自分たちの目的を達成する為に行動するだけ」
    シグリエ「そうですネ。神になるために、神の力を吸収するのが目的ですのデ」
    ヘレグ「てことで、もっとかき回しちゃおっかな」
    ヘレグは鼻歌混じりに観客席の方を見渡し、何か術を詠唱し始めた。あれが攻撃術なら、観客席にいる神々に被害が及ぶ…!
    あなたは飛び出そうとするが、アーサーは片手でそれを制止した。
    アーサー「大丈夫だ。“彼ら”が居る」
    ──バスンッ!
    次の瞬間、ヘレグの足元に弓矢が飛んだ。
    ヘレグ「ッうわ、あぶなっ」
    詠唱は途切れ、ヘレグは弓が飛んできた方に顔を向けた。
    フィン・マックール「君たちの好きにはさせないよ」
    オェングス「アーサー!こっちの準備は出来ているよ」
    ヌアダ「こちらの戦力も整った」
    ネヴィン「よぉし!そやつらを捉えるぞ!」
    妖精国、ダーナの戦士たちがヘレグとシグリエを取り囲む。観客席では神々の避難誘導が始まっていた。
    ヘレグ「俺たちとヤル気満々じゃん」
    アーサー「いざという時のために、警戒しておいてよかったよ」
    ヘレグ「対策済みだったって訳か。いけ好かないなぁ」
    ランスロット「御託を並べるな」
    ガラハッド「…今度こそ、完璧にランスロット様をサポートしてみせる!」
    シグリエ「こうもぞろぞろと…」
    ガウェイン「悪いが手加減はしないぜ」
    モードレッド「ケルトの戦士たちに喧嘩を売ったこと、その身をもって償え」
    円卓の騎士たちも出揃った。ヘレグとシグリエは戦闘態勢を取る。
    アーサーも剣を抜き、ヘレグとシグリエに鋭い眼差しを向ける。そして、声高らかに宣誓をした。
    アーサー「ケルトの戦士たちは皆強く、勇敢だ。決して、お前たちの思い通りにはさせない!」
    (ボス戦)

第二幕 ボス

シグリエ&ヘレグ
シグリエ&ヘレグ.jpg
HP750
報酬[勝利を我が手に]アーサーの涙ステッキ(赤)
遭遇時【第二幕】エリアボス出現!
撃破時ヘレグ&シグリエを討伐した!

第三幕

エリア名画像行動経験ジェムその他
第三幕特別授業0.jpg-?+?~?+?~?--

第三幕 台詞

  • 【第三幕】
    ヘレグ「ズルくない?こっちはふたりしかいないのに、そっちは、えーっと…」
    シグリエ「律儀に数えようとしないでくださイ!とっとと退散しますヨ」
    シグリエ「だから嫌だったんでス、まったく…」
    シグリエは文句を言いながらヘレグの首根っこを掴み、空間の割れ目の奥へと戻っていった。
    脅威が居なくなり、神々は安堵した。
    アーサー「ひとまずは退けた、か」
    アラウン「…今の者たちの正体を知っているのか?」
    アーサー「クレプシード家の者だ」
    アラウン「彼らは、神、…ではないのか?」
    アーサー「ああ。神とは似て非なる存在だ」
    マーリン「彼らのことはゼウスが教えてくれたのよね。少し前にギリシャで大きな異変が起きた時に、彼らの正体が明らかになったらしくて」
    アーサー「クレプシード家の者たちは、【刻ノクロノス】という特殊な神の手によって生み出されたらしい。刻ノクロノスが復活の力を得る為に」
    プイス「では、彼ら…クレプシード家は刻ノクロノスの手下なのか?」
    アーサー「いいや、既に彼らと刻ノクロノスは決別しているらしい」
    アーサー「彼らはまだ不完全な存在なので、完全な存在になるために、神の力を回収しているとのことだ」
    アラウン「そうだったのか…」
    アーサーたちの話を聞き終わり、アラウンは申し訳なさそうに神々を見回した。
    アラウン「皆に迷惑をかけてしまい、すまなかった」
    アラウン「自身の野心が利用されるとは…情けないことをしてしまったな…」
    プイス「俺からも謝罪させてほしい。せっかくの会合に水を差してしまい、申し訳なかった…」
    アーサー「いいや、気にする必要はない。知らなかったのだからね」
    アーサー「それに、ダヴェドがキャメロットやダーナや妖精国と交友を持ってくれたことは、将来的にケルトにとっていい影響をもたすだろう」
    アーサー「今後も一緒にケルトをよりよくしていこう、アラウン、プイス!」
    アラウン「…ありがとう、アーサー」
    プイス「俺たちを受け入れてくれたこと、感謝する」
    アラウンとプイスは深く頭を下げたが、すぐにアーサーは彼らの肩に手を添える。
    ケルトの神々は皆、快く彼らを歓迎した。
    場が和やかなムードに包まれていると、外で警備をしていたガウェインが会場内へ戻ってきた。
    表情は険しく、ただならぬ事態が起こっていることを物語っていた。
    ガウェイン「アーサー様!緊急事態です」
    アーサー「何があった?」
    ガウェイン「魔神の大群がここに向かってきています」
    アーサー「何だって…!?」
    アーサー「戦える者は全員戦闘準備を!それ以外の神々は避難誘導を頼む」
    ヌアダ「攻撃の要には各国の強者たちを揃え、ダーナの部隊で戦線を補強しよう」
    オェングス「偵察は妖精国の神々に協力要請するよ。遠距離攻撃部隊も任せて」
    アラウン「俺とプイスは遊撃隊となろう。戦況に合わせて各国を援護する」
    各国の王が手際よく作戦を立て、それを部下たちへと伝えていく。王達の見事な連携にケルトの神々の士気も上がった。
    ケルト諸勢力は一致団結し万全の体制を整えた。
    ~戦闘準備中~
    オェングス「魔神の大群が見えてきたって連絡があったよ。そろそろ攻撃を開始した方がいいかも」
    アーサー「そうだな!一同、構えよ…!」
    アーサーの言葉で神々は戦闘に備える。空気に瘴気が混じり始めていた。
    ──刹那、空間が裂けて再び割れ目が現れた。
    現れたのは、シグリエとヘレグ。そして、ナイトシア、コメトン、スヴェイだった。
    アラウン「お前達は…!」
    ヘレグ「あれ?何この感じ。何で、皆バラバラになってない訳?」
    ヘレグ「魔神の大群にケルト大パニック!ケルトぐちゃぐちゃご愁傷様です大壊滅作戦だったんだけどな」
    シグリエ「逆に絆が深まったみたいですヨ」
    ナイトシア「何故こんなに神々が集まっているんだ…」
    コメトン「…分からない」
    スヴェイ「ヘレグ!なにシタ!?」
    ヘレグ「ハハッ、ちょっとねー」
    ナイトシア「これは…ちょっとの域を越えているぞ」
    ナイトシア「この間、お父さんに勝手に行動はするなと言われたばかりだろう」
    ヘレグ「えー、そうだっけー…」
    シグリエ「ヘレグ、怒られてダサいですネ」
    ナイトシア「…シグリエ。お前もだ。何故協力した?ヘレグを止めることもできたんじゃないか?」
    シグリエ「そ、それハ…」
    ヘレグ「アハハ、シグリエ巻き添いドンマイ」
    ナイトシア「どう落とし前をつけるつもりだ?答えてみろ」
    ナイトシアが淡々とした口調でヘレグとシグリエを問い詰める。決して怒鳴る訳ではないが、圧が凄い。
    目の前で巻き起こるまさかの展開に、神々も口を挟めずにいた。そして、ナイトシアの迫力に萎縮してしまい押し黙っていた。
    スヴェイ「ププ!ヘレグ、シグリエ、怒られテル!オモシロイ!」
    コメトン「…ナイトシア。そのくらいで」
    ナイトシア「落ち着いていられるか。またお父様に迷惑がかか…、…、……お前は」
    ナイトシアは言葉の途中で、神の中にあなたの姿を見つけた。ナイトシアは沈黙の間、あなたをじっと見つめていた。
    ヘレグは、ナイトシアの挙動を見逃さなかった。すぐさま、同胞の前に立ち両手を広げ演説する。
    ヘレグ「確かに勝手に動いちゃったのは悪かったけど、もうここまで来てるしさ。
    カミサマたちの力がこんなに溢れてるからこの機会を逃すのは惜しいと思わない?」
    ヘレグ「だからやっぱり──戦おうよ」
    ヘレグは終始笑みを絶やさない。そして振り返り、神々に対しても笑みを向けた。
    その笑みは、神々を警戒させるに十分なほど敵意に溢れていた。
    直後、ナイトシアは剣を構え戦闘態勢に入った。
    ナイトシア「…お前が居るなら、それだけで戦う理由は十分だ」
    一途に、ナイトシアの視線はあなたへ向けられていた。
    アーサー「…来るぞ!」
    一斉に神々に襲い掛かってくるクレプシード家!
    あなたは迫ってくるナイトシアを視界に捉え、攻撃態勢を執る──…!
    (ボス戦)

第三幕 ボス

ナイトシア=クレプシード
ナイトシア=クレプシード.jpg
HP1000
報酬[勝利を我が手に]アーサーの涙ステッキ(青)
遭遇時【第三幕】エリアボス出現!
撃破時ナイトシア=クレプシード討伐した!

無限エリア 

エリア名画像行動経験ジェムその他
武芸トーナメント会場武芸トーナメント会場.jpeg-50+10~11+10~20--

エピローグ

異界統治の野心王~武芸編~(エピローグ)

カキン──…ッ!

「っ…」
「そんな攻撃、効きませんヨ」

シグリエはプイスの槍を弾く。統率のとれたクレプシード家の攻撃に、神々は苦戦を強いられた。

「プイス!」
「他の奴より先に自分の心配をするべきだな!」
「…っ後ろに…!?」
「じゃーな、アーサー王、っ…うおっ!?」

ヘレグに向かって一直線に魔法が飛ぶ。蹴りを繰り出そうとしたヘレグの脚は弾かれ、体勢を崩した彼は後方へ飛ばされた。

「フン、お前の方こそ視野が狭いようだ」

プイスに気を取られたアーサーを救ったのは、アラウンだった。

「借りは返したぞ」
「アラウン!助かった、ありがとう」
「礼には及ばん」

アラウンはすぐに顔を背け、魔神やクレプシード家たちと戦っている神々の方へ顔を向けた。

「……アーサー。策はあるんだろ?隠さずに見せろ」

アラウンは、アーサーを焚き付けるように言葉を投げた。
アーサーはそれを聞き、少し楽しげな笑みを向ける。一瞬見せたのは、王としての一面とは違う好戦的な表情。そして体勢を整えると、クレプシード家を打倒するために、次々と神たちへ指示を伝えた。 徐々にケルト勢は息が合い始める。
アーサーの指揮、ヌアダの戦闘力、オェングスの視野の広さ、アラウンの機転。各国は力を合わせ、完璧な連携をしてみせた。
勢いに乗った神々は、クレプシード家と魔神たちを圧する。

「それっ!矢の雨だよっ」
「それ、アブナイ!」

「悪くない攻撃だねぇ。あと一歩、私には及ばないが」
「ギャン!」

オェングスとヌアダもそれぞれクレプシード家を制する。あなたもナイトシアの攻撃を躱し、攻める。
クレプシード家が劣勢であることは、明らかだった。一度退いたコメトンは無表情のまま場を見渡し、ヘレグの姿を見つけると口を開いた。

「…ヘレグ。もういいだろう」
「えー?んー」


「まあ。力は集まったしいっか」

存分に暴れて満足したのか、ヘレグはあっさりと了承した。

ヘレグが片腕を上げて何か唱えると魔神たちは戦うことをやめ、後退していく。
クレプシード家たちも撤退し始めるが、ナイトシアの殺気は止むことなくあなたに向けられていた。

「いつか、お前とは決着を付ける。必ずだ」

そう言い残し、ナイトシアも空間に作った割れ目へと身を翻し撤退していく。

「このことはお父さんに報告する」
「マジ?」
「当たり前だ」
「怒られるのはヘレグだけですよネ?」
「……きっとシグリエも、怒られる」
「そんナ…」
「キャハハ!かっみなリ!オチル!」
「どうやって逃げようかなー」
「逃げられると思ってるのか?」

クレプシード家たちが去った割れ目の奥からそんな会話が聞こえてきた。割れ目が完全に消失すると、彼らの会話も途切れ消えた。

その場には神々だけが残った。脅威を退いた彼らは喜び、安堵した。祝賀ムードの中、アラウンとプイスは揃ってアーサーの元を訪れた。

「アーサー」
「アラウン!先の戦いでは助かった。ありがとう」
「…そんな些細なこと、気にする必要はない。それよりも…、本当にすまなかった」

アラウンは頭を下げ、隣のプイスも共に頭を下げる。

「年に一度の会合をこのように掻き乱してしまった。謝罪してもし足りない。ケルトの皆に、改めて謝罪しよう」

魔神たちの襲撃で、確かに会場はめちゃくちゃになってしまった。観客席もアリーナも崩れ、無残だ。
頭を下げたままのアラウンとプイスを見て、アーサーは彼らの肩に手を置いた。

「我々に大切なものは、未来だ。何をしてしまったかではなく、これから何をするか、だ」
「誰しも過ちは犯すものだからねぇ」
「僕たちは出来ればこれからも二人と仲良くしたいと思っているよ。みんなも、そうだよね?」


ケルトの神々は同意し、アラウンとプイスに対し友好的な眼差しを向ける。

「ありがとう。今回の件で、クレプシード家という魔神以外にも神や人間の生活を脅かす存在がいると知ったよ。
…それらに対抗するためには、ケルトの神々と協力が必要不可欠だね。今後、ダヴェドの原則についても考え直すよ」
「ああ。今一度考え直すことにしよう」
「それは吉報だねぇ。交流はいつでも歓迎だよ」
「うん。妖精国にも、アラウンたちと話したい神々がたくさんいるからみんな喜ぶと思う」
「ああ。ぜひ、円卓の騎士の皆とも手合わせをしてくれ」

それから暫くして再びケルトの神々が集められ、盛大に閉会式が行われた。

──夕刻。武芸トーナメントは無事に終わりを迎え、神々はそれぞれの国に帰ってゆく。会場内には夕陽が差し、帰路に着く神々の影が落ちる。
ダヴェドの二人も帰らねばならない。アーサーたちは彼らを見送る。

「世話になった」
「こちらこそ、今回は会合に参加してくれてありがとう。来年も是非参加してくれ!」
「そう言ってもらえると嬉しいな。来年も参加しようよ、アラウン」
「…そうだな。悪くない」

アラウンとプイスは小さく笑み、外套を羽織る。
最後に、アラウンは振り返った。彼の視線はオグマへ向けられていた。

「…?」
「オグマ。やはり…俺の部下にはなってくれないのか?」

アラウンはオグマを諦めきれないようであった。当初よりも控えめな言い方ではあるが、切々とした思いが込められていた。
オグマは朗らかな調子で言葉を返した。

「ああ。悪いが、断る」
「そうか…」
「しかし、勢力や部下という縛りではなく、何かあった時には協力するぞ。困った事があったら連絡をしてくれ」
「それはつまり…!」
「ほら、アラウンそろそろ行くぞ?」
「まだ話は終わっていない!」
「皆さん、…それでは、“また”」

プイスは挨拶し、アラウンを連れて会場を後にする。
二人らしい帰り方に神々は頬を綻ばせた。
彼らが仲間となるのなら、きっと今後ケルトはますます栄えるだろう。そんな予感を感じずにはいられない。
クレプシード家の登場で一時は波乱に富んだが、結果的に武芸トーナメントは大成功を収めた。こうして、今年のケルト諸国会議は幕を下ろしたのであった。

おしまい