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時ノ欠片 ストーリー

Last-modified: 2018-07-21 (土) 19:26:06

時ノ欠片プロローグ.jpg

※○○にはユーザー名が入ります

とある日のことだった。

「○○様、大変です〜!」

あなたの耳に聞き覚えのある声が響く。
ナビィがまた新しい情報を知らせにきたのだ。

普段であれば、その後に封印された神の名が続く。
……が、今回は違った。

「なにやら、変な裂け目が……!」
「と、とりあえず来てみてください〜!」

慌てるナビィに詳細を聞けぬままあなたは背を押され、
そのまま問題の場所に辿り着く。

日の差し込む森の中に、少しばかり開けた場所があった。
辺りを見回しても特に何の変哲も無いその空間に、
切れ目……というべきなのだろうか。
まるで空間が裂けているかのような部分があるのである。

「ここから、嫌な雰囲気を感じます……!」

確かに、その裂け目を覗き込むと
深い闇の中になにやら歪んだような、嫌な寒気を感じた。
――まるで、魔神と戦っているときのような。

「ここは、他の神様にも相談して……あっ!」
「ち、近づいたら危ないです〜!」

はっ、とあなたがナビィの声で気がついたときには既に遅く、
突如、闇の裂け目から生じたかのような腕が出現する。
そのまま、あなたは漆黒の腕に掴まれ、
裂け目の中に引きずり込まれてしまった。

そして、
あなたの意識も闇に飲まれてしまうのであった――。


「……目が覚めましたか」

あなたの耳に聞き覚えのある声が響く。

「私です……この空間に足を踏み入れたのですね……」

辺りは真っ暗で何も見えないが、
目を凝らすとすぐ側に闇ナビィがたたずんでいた。

「この空間は、とても不安定です……」
「そう、時間も空間も歪んでいるのです……」
「ですが、この空間で得られる力は……」
「間違いなく、あなたを助けるでしょう……」

「時ノ欠片を集め、世界を修復するのです……」

そう言うと、闇ナビィはあなたに背を向け
あっという間に見えなくなってしまった。

他に手がかりの無いあなたはすぐさま立ち上がり、
闇ナビィを追いかけるように彼女のいた辺りへ走る。

すると、なにやら耳に心地のいい音が聞こえてくる。
さらさらと上から砂が降り注ぐような……繊細な音だ。

そのまま歩みを進めると、
突然景色が暗闇から開けるように変化した。


怪しい裂け目の話は、
ナビィが神様達に助けを求めたためすぐさま広がった。

「へぇー!こんな所にこんなものが……」

話を聞き一番にやってきたのはアポロンだった。
どうやら、ヘリオスづてでナビィの話を聞いてきたらしい。

「あっアポロン様!あんまり近づきすぎると危ないです〜!」

ナビィの注意をよそに、アポロンは裂け目の向こう側に興味津々な様子だ。

「この中に○○が引きずり込まれたんだよね?」
「うーん……?この奥に空間があるのはわかるんだけど……」
「何があるのか全然わからないね」
「もっと側まで行けば何か見えるかなぁ」

アポロンが空間の裂け目を覗き込むように近づくと、
あなたを引きずりこんでいったときのように、
空間の裂け目から漆黒の腕が伸びてくる。

「あっ!アポロン様〜!」

腕はアポロンを掴んだ……はずだったが、
その寸前で何かに気づいたかのように一瞬動きを止め、
そのまま裂け目の中に戻っていってしまった。

「…あれっ?アポロン様、ご無事ですか〜!?」
「うん、なんとも無いよ。どうしちゃったんだろう?」

腕がアポロンを掴まなかった理由は
アポロン本人もよくわかっていない様子だ。

「不思議な事もあるんですね〜!」
「うん、びっくりしちゃった!」

「もしかして、神様は掴めないのかな?」
「そうだとしたら……!ナビィ、もっと神様にお知らせします〜!」
「僕も他の神様に声かけてくるよ!」

ナビィとアポロンはそれぞれ、他の神達に助けを求めるべくその場を離れた。


ナビィとアポロンが集めた情報によると
空間の裂け目はどうやらナビィが見つけた場所だけでなく
あちこちで発生しているらしい。
そして不思議な事に腕に掴まれる神様と掴まれない神様がいる事がわかった。

「この差は一体何なのでしょう……!」

首をかしげるナビィ。
そんなナビィをよそに、あなたを慕う神様――守護神の決意は固まっていた。


夢幻ノ砂丘を歩く○○と守護神、
そしてナビィ。
調査することによって、少しずつではあるが色々とわかってきた。

例えば、
裂け目の中に広がるこの空間は過去や未来、
空間なども含め全てが不安定で歪んでいること。

そのため、過去に出会った魔神やモンスターに遭遇したり、景色が突然変貌したりすること。
この不可思議な空間によって、通常では手に入れられないであろう力が得られること。
……この空間を生み出した張本人がいるということ。

思い返してみれば、以前上った蜃気楼の塔も時空が歪んでいた。
蜃気楼の塔を生み出した人物と同じ人物が、この空間も作り上げたというのだろうか?

事実が明らかになるにつれ、
疑問も増してくる。

一体何の目的で生み出したのだろうか?
スヴェイ=クレプシードとの関係は?
この空間や蜃気楼の塔を生み出したとするならば、その人物はどれほどの力を持っているのか?

「何か考え事でもしていたのですか?」

不安の色が顔に出ていたのだろうか、
ナビィがあなたに声をかける。

「夢幻ノ砂丘…ナビィはなんだか、
不思議な感じがします」
「上から砂が降ってくるようにも、下から砂が昇っていくようにも感じるんです」
「でも、全部が止まっているようにも感じるんですよ。不思議ですね〜」

確かに、時間も空間も歪んでいるのだからナビィの言っている事はいずれも嘘ではないだろう。
幻想的でつい見とれてしまうが、長居をしすぎると気がおかしくなりそうだ。

「ところで、スヴェイ=クレプシードは一体何者だったのでしょうか?ナビィはさっぱりでした……」
「神様を封印した黒幕とは違うみたいですが……すごい力を持っていましたね〜」

神様がこの空間で得た力が覚醒ならば、こちらの攻撃を封じる結界が、彼ら時ノ住人がこの空間で得た力なのかもしれない。

「その分、倒すとかなり次元を修復することができますね!」

ナビィの意見に頷く。この空間に存在する魔神やモンスターを倒すことで次元が修復できるのもまた同じ理屈なのだろう。

――もしもここで次元を修復しなかったら、世界はどうなっていたのだろうか?

ふと頭をよぎった疑問に軽く身震いしながら、
再び歩みを進める。
この空間の調査はまだ始まったばかりだ。